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学びが社会につながる瞬間 ― 兵庫県での実証実験から

2026年2月 6日 (金) 投稿者: メディア社会コース

2025年12月13日、兵庫県において、TOA株式会社と共同で

Auracast™とWi-Fiを活用した補聴支援システムの実証実験
を実施しました。

本取り組みについては、大学のプレスリリースでも紹介されています。

https://www.teu.ac.jp/press/2025.html?id=291

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この実証実験に至った背景には、少し個人的で、とても象徴的なストーリーがあります。

実は、私の研究室で聴覚障害や音声情報アクセシビリティについて学んだ学生が、卒業後にTOAへ入社しました。

昨年3月ごろ、その彼と「一緒に何かできないだろうか」という話をしたことが、すべての始まりでした。

彼が社内で上司の方々に丁寧に説明してくれたことで、

大学での研究と企業の技術・フィールドを組み合わせた今回の実証実験へとつながりました。

指導教員として、これほど嬉しい出来事はありません。

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さらに最近では、彼に続く形で、他の卒業生たちも一緒に何かできないかと声をかけてくれています。

今年は、兵庫県での成果を踏まえ、

実際の駅や空港といった公共空間での実証実験を目指し、現在も企業・関係機関と協議を進めています。

大学での学びが、

企業での実践につながり、

さらに社会へと還元されていく。

この実証実験は、そうした循環が現実のものとして動き始めていることを示す、

一つのモデルケースになると考えています。

メディア学部での学びは、教室の中で完結するものではありません。

社会とつながり、人とつながり、未来へと続いていくものです。

 


メディア学部 吉岡 英樹

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略歴:バークリー音楽院ミュージックシンセシス科卒業後、(有)ウーロン舎に入社しMr.ChildrenやMy Little Loverなどのレコーディングスタッフや小林武史プロデューサーのマネージャーをつとめる。退社後CM音楽の作曲家やモバイルコンテンツのサウンドクリエイターなどを経て現職。1年次科目「音楽産業入門」を担当。現在は聴覚障害支援を専門としており、メディア専門演習「サイレント・コミュニケーション」、3年次科目「音声情報アクセシビリティ」、聴覚障害支援メディア研究室 を担当している。

デフリンピックで体験する「サイレントコミュニケーション」

2026年2月 4日 (水) 投稿者: メディア社会コース

2025年11月、私たちは日本で初めて開催された「デフリンピック」の関連イベントにおいて、

「サイレントコミュニケーション体験」を出展しました。

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この体験では、音響シミュレーションを用いたコンテンツを通して、

聞こえる人が「聞こえない」「聞こえにくい」状態を疑似的に体験できる展示を行いました。

あわせて、Auracast™やWi-Fiを活用した補聴支援システムの体験も用意し、

音声情報をどのように届け直すことができるのかを、実感として理解してもらうことを目指しました。

会場には、

聞こえる人、聞こえない人、聞こえにくい人

さらにさまざまな国籍・文化背景を持つ来場者が訪れ、

非常に多様性のあるコミュニケーション空間が生まれました。

運営を支えたのは、メディア学部の学生スタッフです。

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学生たちは、これまで授業の中で学んできた手話や非音声コミュニケーションを最大限に活用し、

試行錯誤しながら来場者一人ひとりと向き合っていました。

終了後には、「とても良い経験だった」「学んだことが初めて現場でつながった」という声も多く聞かれました。

日本初開催となったデフリンピックは大きな成功を収めましたが、

私たちは、この期間だけ注目が集まって終わることを望んでいません。

聞こえについて考えることが、日常の中で当たり前に続いていくこと。

そして、聞こえない人・聞こえにくい人に寄り添う社会づくりが、立ち止まることなく進んでいくこと。

メディア学部の実践は、その小さくも確かな一歩でありたいと考えています。

 


メディア学部 吉岡 英樹

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略歴:バークリー音楽院ミュージックシンセシス科卒業後、(有)ウーロン舎に入社しMr.ChildrenやMy Little Loverなどのレコーディングスタッフや小林武史プロデューサーのマネージャーをつとめる。退社後CM音楽の作曲家やモバイルコンテンツのサウンドクリエイターなどを経て現職。1年次科目「音楽産業入門」を担当。現在は聴覚障害支援を専門としており、メディア専門演習「サイレント・コミュニケーション」、3年次科目「音声情報アクセシビリティ」、聴覚障害支援メディア研究室 を担当している。

オーラキャスト™とWi-Fiが切り拓く、新しい音声情報アクセシビリティ体験

2026年2月 2日 (月) 投稿者: メディア社会コース

昨年度、私たちはAuracast™(オーラキャスト)とWi-Fiを組み合わせた補聴支援システムの体験会を、各地で実施しました。

こちらのの画像は、その取り組みの一部をまとめたものです。

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体験会には、聴覚障害当事者の方々をはじめ、言語聴覚士など支援に関わる専門職の方々、そして音やアクセシビリティに関心を持つ一般の方まで、幅広い参加がありました。

多くの参加者が共通して口にされたのは、「驚くほどクリアに聞こえる」という率直な感想です。

このシステムの特徴は、雑音や反響の少ない非常に明瞭な音声を、個人の補聴器やスマートデバイスに直接届けられる点にあります。

その結果、音声をリアルタイムで字幕に変換する際も誤変換が大幅に減少し、情報の正確性が高まることが確認できました。

私たちはこれを、単なる「聞こえの補助」にとどまらない、

新しい音声情報アクセシビリティの形として捉えています。

交通、教育、文化施設、イベント空間など、音声情報が重要な場面での応用が強く期待されます。

メディア学部では、このように

テクノロジー × 社会課題 × 実証フィールドを横断しながら、

「社会に実装されるメディアとは何か」を実践的に探究しています。

これから大学選びをする高校生の皆さんにとっても、

そして教育・研究に携わる教員にとっても、

メディアの役割をあらためて考える一つの事例になれば幸いです。

 


メディア学部 吉岡 英樹

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略歴:バークリー音楽院ミュージックシンセシス科卒業後、(有)ウーロン舎に入社しMr.ChildrenやMy Little Loverなどのレコーディングスタッフや小林武史プロデューサーのマネージャーをつとめる。退社後CM音楽の作曲家やモバイルコンテンツのサウンドクリエイターなどを経て現職。1年次科目「音楽産業入門」を担当。現在は聴覚障害支援を専門としており、メディア専門演習「サイレント・コミュニケーション」、3年次科目「音声情報アクセシビリティ」、聴覚障害支援メディア研究室 を担当している。


 

WISS2025 参加

2026年1月28日 (水) 投稿者: メディア技術コース

メディア学部の加藤です。

昨年、12月12月3〜5日に北海道・定山渓ビューホテルで開催されたWISS2025に参加してきました。
インタラクションは、Human-Computer Interaction(HCI)分野の国内学会のひとつで、毎年 12月に開催されています。

査読付きの口頭発表のほか、ポスター・インタラクティブ(デモ)セッションなどがあり、多くの研究者・学生が発表を行っています。
今年は、学生の共著で 2件の発表を行いました。

1件目は、研究生の郭 安邦さんの発表で、オカリナの演奏支援システムに関する発表を行いました。
金彩技法によって陶磁器のオカリナ表面に電気回路を形成し、タッチセンサとして機能させることで指孔の押下を検出します。
これによって、PC上に実装したシステムによって、運指の正誤をフィードバックすることで、オカリナの演奏の学習支援を実現しました。
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郭 安邦, 太田 高志, 加藤 邦拓金彩回路を用いたオカリナ演奏支援システム. 第33回インタラクティブシステムとソフトウェアに関するワークショップ(WISS 2025)論文集, 2-C23, pp.1–2, (2025). [PDF] [Video]

2件目は、学部 4年生の尾崎 夢弥さんの発表です。
通常のプッシュソレノイドと、双安定ソレノイドを組み合わせることで、通常入力 / キーの自動押下 / キーの固定の 3状態を制御できる PCキーボードを開発しました。
開発したキーボードによって、ユーザのPC作業時の入力をサポートする様々な機能を実現することができます。
こちらの発表は、プログラム委員の投票による WISS2025 対話発表賞を受賞しました。
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尾崎 夢弥, 加藤 邦拓, 太田 高志. 双安定ソレノイドを用いたキーの状態制御が可能なキーボード. 第33回インタラクティブシステムとソフトウェアに関するワークショップ(WISS 2025)論文集, 3-B07, pp.1–2, (2025). 【対話発表賞 (プログラム委員投票)】[PDF] [Video]

それぞれの研究の詳細については、上記リンクから、論文や動画を御覧ください。

令和8年度道祖神祭り

2026年1月27日 (火) 投稿者: メディア技術コース

メディア学部の榎本です。

今年も1/15日に行われた野沢温泉道祖神祭りの撮影に行ってきました。

2012年の秋から行き始めたので、14年目に突入です。もはや我々の撮影したビデオが古典的なメディアになりつつあります。

 

道祖神祭りは毎年、必ず(曜日に関係なく)1月15日に行われます。社殿を作り、それを燃やすというお祭りです。20140115_212044a_00470904 

この写真は、その社殿が燃えているシーンです。社殿の上部は正方形で40畳ぐらいあります。

そして、左右にある明かりの付いた飾り物のあるものが「初灯籠」と言われるもので、村人の誰かの家に長男が生まれると、その子の無事の成長を願ってこの初灯籠が奉納されます。1つ作るのにおよそ100万円かかると言われており、その長男の家の負担になります。昔は、一度に7つぐらい奉納されたこともあったのですが、年々、初灯籠を作ってくれるお家が減っており、最近では2つ(のお家)が奉納されることが通常です。奉納というのは、燃えている社殿に灯籠を突っ込ませて、燃やすことです。

私は1/11日に立てられた1方の方の灯籠の撮影から野沢に入りました。お祭りの準備はおよそ1/8ぐらいから始められて、祭り会場となる道祖神場を雪で埋め立てるという作業が行われます。その他、諸々の細かい作業があり、1/13には社殿の柱になる御神木を山から手で引いて下ろしてくるという行事が行われます。

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木を曳くのは42歳と25歳の厄年の男性が中心となります。スキー場の中腹に保管してあった御神木の2本をそれぞれ道祖神場まで曳いて行きます。

雪のある山中では木を引きずっていくのですが、村中のアスファルトの道路があるところは「ゲタソリ」というものを木の下にくくりつけて、木が直接道路にあたらないようにします。

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この図はゲタソリを御神木に縄で括り付けているシーンです。木を曳く主役は42歳厄年なのですが、こういった各所の裏方の仕事は41歳と40歳の見習いの方達が担います。42歳、41歳、40歳の人たちを「三夜講」と呼びます。40歳で三夜講に入った人はまず見習いとして、先輩達から縄の結び方や物事の考え方(どんなことも手を抜かないとか率先して作業にあたるとか)を学びます。41歳も本見習いとして、同じことを学びます。この人たちは見習い2年目になるので、見習いの中では先輩になります。そして42歳になると「本厄」となり、祭りを執行する中心人物となります。

私たちの研究は、見習いが本厄からどのように伝統を受け継いでいくのかを分析することです。縄の結び方や木の切り方、お供物の並べ方など、技術や知識は覚えればいいだけですが、物事の考え方はそうはいきません。長い準備作業を通して、先輩の態度を見ながら、徐々に身体に脳に浸透させていくしかないわけです。それがどういった端端で学ばれていくのか、コミュニケーションの分析を通して明らかにするというのが我々の目的です。

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