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学生・若手のためのAESジャパンフォーラム2023

2023年12月 8日 (金) 投稿者: メディアコンテンツコース

こんにちは。伊藤彰教です。

AES(オーディオ・エンジニアリング・ソサエティー)東京工科大学メディア学部の関わりについては、10月にもこのブログにてご紹介しましたが、今回はさらなる続報です。

AESの学生支部では例年、秋のシーズンに制作・研究の成果と、学校間、産学の交流を目的として<学生・若手のためのAESジャパンフォーラム>を開催しています。ここ数年はコロナ禍もありオンラインでの開催でしたが、対面発表が復活する2023年度の今年は東京工科大学八王子キャンパスにて開催されました。わたしたちの大学が会場になるのは初めてのことです。

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名古屋芸術大学、洗足学園大学、東京藝術大学など、日本全国のから音響制作・音響研究を学ぶ学生さんたちが一堂に会し、ポスター発表やオーディオデモを中心に、熱気あふれる交流会となりました。

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このフォーラムは、AESの学生会員の中の有志が主体的に運営しており、運営委員会自体が貴重な大学・専門学校の学生同士の交流の場や社会活動の場となっています。2023年度の今年はなんと、運営委員会メンバー内で東京工科大学メディア学部からの参加人数が最多とのことで、「東京工科大学メディア学部は音楽・音響制作を学べる大学」ということを広く他大学、特に音大の方々にも認めていただくきっかけにもなりました。以下は会場運営に勤しむメディア学部生のみなさんです。

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フォーラム参加者は、学生だけではなく、音響研究で著名な他大学の先生方や放送・音響業界の方々も多く来訪しました。伊藤彰教研究室の立体音響設備でも、名古屋芸術大学をはじめとして様々な大学で制作された音響作品を展示するとともに、こうした専門家の方々にも、本学の音響研究の一端を知っていただける機会となりました。

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運営だけではなく、研究発表についてもメディア学部生が頑張ってくれました。exSDプロジェクトメンバーと、プロジェクト演習「オーディオエンジニアリング」の合同制作による<音源包囲型マルチマイク録音>というレコーディングテクニックとサウンドは、立体音響作品の中でも新鮮なものとして好評をいただきました。

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大学間の学生トークイベントでは「インタラクティブ・オーディオの未来」というテーマで、東京藝大からはMPEG-Hなどを中心とした次世代マルチチャンネル立体音響配信などの取り組みや、洗足学園大学からは舞台芸術・ミュージカルなどと立体音響の取り組みなどが紹介されるなか、メディア学部の学生さんからは、ゲーム制作に関連する音響デザインや制作についての提案がなされ、若者らしいトピックで活発な意見交換や提案が展開されました。(恥ずかしながら、わたくしもゲストトーカーとしてちょこっと参加させていただきました)

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本学学生にも、そして他大学の学生さんたちも、久しぶりの対面によるフォーラム開催はおおいに刺激になったようで、この日以降も活発な交流が継続しているようです。今回関わった学生さんは、2年生・3年生が中心となっており、今後も継続的な活動が期待できるようです。音楽・音響を全国規模の交流の中で学べるメディア学部として、教員としても最大限の応援を続けたいと思います。ともあれ関わった学生のみなさん、本当におつかれさまでした!

音楽情報処理の国際学会<CMMR>にて留学生が研究発表

2023年12月 6日 (水) 投稿者: メディアコンテンツコース

こんにちは。伊藤彰教です。

わたしたちの研究室では、ITを活用した音楽制作の研究を行う学生も所属しています。そんな学生のひとりに、パラグアイからの留学生がいます。フルネームが非常に長いため、ニックネームである「アレくん」としてご紹介します。アレくんは母国にて一度社会人を経験したあと、日本の音楽大学に1年ほど研究生として滞在したのち、本学メディアサイエンス専攻の大学院生として入学しました。

彼が取り組む研究は、機械学習を活用した音楽生成。特にハープや琴などを「じゃらららん」と奏する、グリッサンドやアルペジオの生成を中心に熱心に取り組んできました。

このブログの読者であれば、機械学習による音楽制作はホットなトピックであることはご存知かと思います。こうした最先端の音楽情報処理研究の国際的なカンファレンスのひとつにCMMR (Computer Music Multidsciplinary Research) があります。この会議が2023年に東京で開催されるよい機会であり、アレくんの大変な頑張りもあってめでたく査読が通り、発表のために参加することができました。

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飯田橋の東京理科大学会場にて行われた<CMMR2023>には、ドイツ、フランス、スペイン、イギリス、台湾、韓国など、世界各国から100名以上の参加があり、久しぶりに対面開催になったCMMRは、非常に国際色豊かな雰囲気のなか、熱気あふれる議論がそこここで行われていました。廊下での雑談も、フランス語、ドイツ語、スペイン語、英語が飛び交い、私自身も「久しぶりに国際会議に来たなぁ」という実感がふつふつと湧いてきました。

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アレくんの発表は「ポスター&デモ発表」というセクションにて行われ、実際に生成した音楽フレーズを多くの方に聞いていただけました。アレくんは母国語はスペイン語で、日本語が流暢であるのはもちろんのこと、英語も非常に堪能で、3ヶ国語を上手に使い分けながら、自らがとりくむ研究について多くの国の人たちに伝えていました。

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アレくんの言語能力、プログラミング能力、そして音楽についての深い造詣は本当に素晴らしいのですが、それらの能力の有無に関わらず、音楽は文化を超えて直観的に伝わるメディアということもあり、音楽生成のデモを実際に聴いてもらうことで研究ディスカッションが大いにもりあがりました。世界中の研究者との刺激的な意見交換を踏まえ、さらなるシステムの向上にむけて意欲を燃やすアレくんです。

「ところでサウンドデザインの研究室なのに音楽も研究できるの?」

という疑問があるかと思います。

サウンドデザインという広い活動を示すひとつのサブ分野として<フィルム・スコアリング>といった音楽創作分野があり、映像音楽・ゲーム音楽などが代表例として挙げられます。こうした創作活動の基盤研究として、ITを活用した音楽制作や音楽ツール開発も含んで研究活動をしています。

最新情報としては、統計的手法や機械学習を用いた楽曲分析によるアルゴリズムを、ゲーム音楽に応用する研究テーマにかかげたフランスからの研究生もプロジェクトの仲間入りを果たしました。

国際的な環境の中で、サウンドの研究も、音楽の研究も、柔軟に行き来できるのがメディア学部のひとつのメリットであるといえましょう。

研究紹介:視聴履歴の共有によるジェネレーションギャップの可視化

2023年12月 4日 (月) 投稿者: メディアコンテンツコース

助教の戀津です。

今回は、以前にも紹介したジェネレーションギャップビューアのお話です。
前回の記事でも最後に少し触れていたのですが、ユーザー登録と視聴作品の登録方法について紹介します。

https://contents-lab.net/ggviewer/
こちらのアドレスからアクセスすると、まずは年表が表示されます。年表上にはデータベース内の各作品がシリーズ別に放映年の位置に表示されています。
ドラッグドロップやマウスホイールで動かしたり拡大・縮小できますので色々操作してみてください。

右上の「ユーザー追加」ボタンから、ログイン・ユーザー登録・年表上への情報追加が可能です。
初めての方はユーザー登録を、登録済みの方はログインをしてユーザーページへ移動できます。

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ユーザーページでは、データベース内の各作品について、あなた自身が視聴したものを選択することができます。
表形式で一覧を出しているので、視聴済みの作品について左端のチェックボックスをチェックにしていただければ入力完了です。

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作品はたくさんあるので、検索欄も準備してあります。図では「プリティー」と入力してみた結果を表示しています。
入力した文字列で各情報を検索するので、プリティーシリーズの各作品と、ウマ娘シリーズがヒットしました。
他にも放送年(2023等)を入れて絞り込むことも可能です。

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こうして入力した情報は、年表上に反映されます。ログイン済みのユーザーであれば、年表ページに戻ると自身の生まれ年からの年表が表示され、視聴済み作品に色が付きます。

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ユーザー追加ボタンから他ユーザーのユーザー名を入力すると、その方の年表と視聴済み作品が色つきで表示されるので、自身の年表・視聴作品と比較ができます。
共通の話題が見つかったり、視聴していたシリーズの他の作品の様子を聞いたりと色んな活用ができると思います。
私自身色々試しましたが、複数人で視聴履歴を持ち寄るだけで結構楽しいです。
「無限にオタクトークができる」という評価を頂いたこともありました。

ユーザー登録は本名である必要なく、半角英数で作成をお願いしているのでSNSのidで作成し、SNSで共有するのも楽しいかも知れません。
私のおすすめ作品リスト!みたいな活用法も考えられますね。是非やってみてください。

デジタル時代のブランド その3

2023年12月 1日 (金) 投稿者: メディア社会コース

みなさん,こんにちは。メディア社会コースの進藤です。

今週はデジタル時代のブランドについて考えていきたいと思います。

ブランド価値は,顧客を含むすべての関係者との相互作用によって共創されるという考えにともない,ブランド戦略を立案する上でも共創のプロセスが重視されるようになりました。ソーシャルメディアなどを活用して,企業と顧客が協働することで,新たな経験価値を共創するのことが可能になったのです(田中,2014)。こうしたブランド価値共創においては企業と顧客に加え,すべての関係者を巻き込むことで,その周囲に広がる生活者へとつながる可能があるとされています(澁谷,2020)。 そのような流れの中で、ソーシャルメディアが発展し,価値共創が行われる中,デジタル発のブランド,DNVB(Digital Native Vertical Brand:デジタルネイティブ世代の直販ブランド)と呼ばれるブランドが生まれています。D2C(ダイレクト・トゥ・コンシューマー)と呼ばれるビジネスモデルを採用するこれらのブランドとその顧客の関係は,一般の企業にとっても,今後のブランドについて考える上で重要な示唆を与えているといえるでしょう(澁谷,2020)

<参考・引用文献>

田中洋編(2014)『ブランド戦略全書』有斐閣

澁谷覚(2020)「デジタル社会におけるブランドのあり方」マーケティングジャーナル, 39(3), pp.3-6.

デジタル時代のブランド その2

2023年11月29日 (水) 投稿者: メディア社会コース

みなさん,こんにちは。メディア社会コースの進藤です。

今週はデジタル時代のブランドについて考えていきたいと思います。

デジタル化が進むなかで,企業は顧客との双方向のやりとりを大切にするようになり,顧客がブランドでどのような経験をするか(カスタマーエクスペリエンス)が関心のまとになりました。さらに顧客がブランドを経験する経路やタイミングを設計するカスタマージャーニーが重視されるようになりました。顧客がブランドのファンとなるような経験価値提供するためには,個々の顧客の関心やニーズに応じた最適なタイミングで接することが求められています。顧客の経験(カスタマーエクスペリエンス)が重視される時代になり,企業にとっては,顧客の心に訴える経験世界観をブランドがいかに提供するかが課題になりました。さらに現在では,価値を創造するのは企業と顧客の双方であり,ブランドは顧客と共創するものであると考えられています(田中,2014)

<参考・引用文献>

田中洋編(2014)『ブランド戦略全書』有斐閣

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