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社会の足跡をたどる

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『社会の足跡をたどる』というと、なにやらストーカーか、推理小説のようであるが、これは『社会・経済活動の計測』の話である。わが国では、国民、企業などの実に様々な活動について、官公庁などが定期的に調査を行なったり、あるいは行政事務を通じて得られた記録を、信頼性の高い統計情報として加工している。経営者による景況感(景気の良し悪し)であるとか、プリウスが今月何台輸出されて、ベンツが何台輸入されたかなど、わが国の経済活動に関する非常に詳細な姿が統計情報として作成されているのである。これらの情報はわが国の政策に極めて大きな役割を担っている。いたずらに事業仕分けの対象になればこれは国家的損失である。





わがメディア学部にも、広くビジネスに関する調査・研究を行なっている研究室がいくつもある。国の統計情報のような網羅性、代表性の高いものではないが、しかし、毎年多くの学生が、身近で、日常活動の実態を捉えた、まさに『足跡をたどる』調査を行なっている。華やかなファッションを展開する店舗にもいろいろ違いがある。ブランド、銀座と原宿などの立地、お店のコンセプト、ディスプレイ、値段、訪れる客の年齢など様々であり、これらを実地調査した研究からは、各店舗の経営方針や客層の実態を垣間見ることができる。



高級ブティックに縁遠い人(学生)も、毎日スーパーには買い物に行く。ビール、ジュースなど、どのメーカーが客の目線に近い、一番良い棚を占領しているであろうか?BSE、残留農薬が大々的に報道されて食の安全性に対する意識は高まったのであろうか?ブランド・安全性と値段、消費者はどちらを選ぶのであろうか?こうした消費者の購買行動をいくつかのスーパーで、毎日同じ時間に定点観測した学生もいる。こうして得られた情報は、限られたお店の、限られた時期の情報かもしれないが、消費の実態をしっかりと捉えている。過去の記憶を頼りにアンケートした推計ではなく、消費行動の確かな計測である。メディアの学生は、地味ではあるが、こうした地に足の着いた研究も行なっている。



『社会の足跡をたどる』ことのできる情報が、最近ネット上に大きくシフトしてきている。物価指数はいろいろなモノの値段の動きを見るための重要な統計であり、リアルタイムに近いほど利便性が高まることは言うまでもない。最近、Googleが独自の物価指数(GPI)を開発したらしいが、わが国でもネットスーパーのサイトで日々いろいろな商品の値段が更新されていることを見れば、これもモノの値段の実態をリアルタイムに近く捉えた、『社会の足跡をたどる』情報である。



またネット上で誰もが入手できる情報ではないが、Suica、PASMOのシステム上には、われわれの(首都圏の公共交通期間を利用した)動線が詳細に記録されている。いつ、どこの駅から乗車し、どこで乗り換え、どの駅で降りたか。文字通り、われわれの『足跡』を追跡するストーカーシステムと言ったら失礼であろうか。筆者は、Suica、PASMOが謎解きのカギになる推理小説が近々現れるであろう(既に発表されている)ことを期待している。こうしたネット上のデータをクローリングする技術を開発できる人材がメディアの学生の中から出てこないであろうか。

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