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Twitterというメディア(1):つぶやきは誰が見ているのか

2010年11月23日 (火) 投稿者: media_staff

世の中には、いろいろな新しいメディアが登場してきている。Twitterもその一つと言えるだろう。一時期に新聞等で『ミニブログ』という紹介をされることがあったが、Twitterを単なるブログの一種ととらえるのは適切ではない。ブログは、それ自体を個人(あるいは組織)が所持していて、コメントがつけられるとはいえ、発信側と受信側がはっきりしている。これに対して、Twitterは発信側と受信側の境が曖昧である。

確かに、誰かのTwitterプロフィールを見ると、その人のつぶやきが並び、一見すると個人の短い発信がブログの用に列挙されている。しかし、通常、特定の人のプロフィールを見ることは少なく、多くのTwitterユーザは自分のタイムラインに気になる人の発言を取り込んで閲覧している。



『タイムライン』とは、時系列につぶやきを並べたものである。タイムラインには、自分のつぶやき以外に自分が登録している(=フォローしている)ユーザのつぶやきも並ぶ。たくさんフォローをしていると、自分のタイムライン他の人の

つぶやきで埋め尽くされていき、すべてのつぶやきをチェックしきれなくなる。



この「自分に見えているタイムライン」は必ずしも他の人が見ている物とは異なる点が、ブログと大きく違うところだ。つまり、個人個人で見えている物(=各自のタイムライン)が異なるということだ。自分に見えているからといって、他の人(特に自分をフォローしている人=フォロワー)にもそのつぶやきが

見えているとは限らないのである。



では、自分のつぶやきあるいは自分が見ている他人のつぶやきは、誰が見ている(共有している)のだろうか。(もちろん、フォロー関係がなくても検索によってたどり着くことはあるが、ここでは、日常的なタイムラインによって

どのように情報が伝わるのかについて考えてみる。)



仮に、図1のようなフォロー関係を想定する。

tut_mediaとユーザY、ユーザFは互いにフォロー。ユーザFはユーザAを、ユーザBはユーザFを、ユーザCはユーザBを、 ユーザDはtut_mediaをフォローしている。
図1 この記事でのユーザ間のフォロー関係


tut_mediaとユーザYおよびユーザFは互いに相互にフォローしあっている。このため、この3者では完全な情報の共有が可能である。それとは別にユーザFはユーザAを、ユーザBはユーザFを、ユーザCはユーザBを、ユーザDはtut_mediaをフォローしている物とする(これらは逆方向のフォローはないものとする)。



ユーザFが何かをつぶやいた場合、tut_mediaおよびユーザY、ユーザBのタイムラインにはその発言が出てくる(図2)。しかし、ユーザAとユーザC、ユーザDのタイムラインにはまったく出てこない。ユーザCがユーザBをフォローしており、ユーザBはこのつぶやきを見たとしても、(特になにもしない限り)ユーザCにはこのつぶやきは見えないのである。また、ユーザFはユーザAをフォローしており、ユーザAのつぶやきを見るようにはなっているが、ユーザAはユーザFをフォローしていないため、このつぶやきはユーザAの目に止まることはない。

ユーザFのつぶやきはtut_media、ユーザYおよびユーザBのタイムラインにのみ出現
図2 ユーザFのつぶやきの影響範囲


同様に今度は、tut_mediaが『「Twitterというメディア」の記事』とつぶやいた場合(図3)、同様にユーザYとユーザF、ユーザDのタイムラインには、このつぶやきが現れるが、それ以外のユーザには何も見えない。

tut_mediaのつぶやきはユーザY、ユーザF、ユーザDのタイムラインに出現
図3 tut_mediaのつぶやきの影響範囲


次につぶやきが連動するさまを見てみよう。Twitterには「返信(reply)」という機能があり、誰かのつぶやきに対して返事を書くことができる。



返事を書こうとすると、つぶやきの欄に、「@ユーザ名 」が先に入力され、これに続けて返事を書くことになる。ただし、この返事も、実態としては単なるつぶやきであり、返事先のユーザにだけ見えるわけではなく、誰にでも見える状態に

なっている。単に先頭(場所は変えることもできる)に「@ユーザ名 」がついているだけである。tut_mediaのつぶやきに「記事おもしろかったです」と返事を書いたとする(図4)。このつぶやきは、tut_mediaだけでなく、ユーザY、ユーザBのタイムラインにも出てくることになる(※)。



※ @ユーザ名から始まる返信のみのつぶやきは、関係ないフォロワーのタイムラインには出てこないかも。調査中。(2010/11/23 21:25追記)

返信(reply)はつぶやきと同じであり、特定のユーザにだけ見える物ではない。返信している状態は返信したユーザのフォロワーに見える
図4 返信(reply)はつぶやきと同じ影響範囲を持つ


このとき、tut_mediaおよびユーザYにとっては、(つぶやきが連続している、あるいは、充分近くでつぶやかれている状態であれば、)『「Twitterというメディア」の記事』に対する返事であることが分かる。しかし、ユーザBにとっては、突然あらわれたこのつぶやきはなんのことだか分からない。(ただし、@tut_mediaの部分はリンクになっているので、ユーザBが気になれば、もとのつぶやきを見にいくこともあるかもしれない。)Twitter専用クライアントの中には、引用付き返信(QT:Quated Tweet。これをRT(後述)と言うことも)機能がある物もあり、もとのつぶやきを後ろにつけた状態でつぶやける物もある。



さて、こっからTwitterが流行ることとなった本質的な機能であるリツイート(Retweet)の話になるのだが、記事自体が長くなってきたので、今回はここでおしまい。次回以降にRetweetの話を書こうと思う。



次回以降の予定内容:

Twitterというメディア(2):リツイートの効用

Twitterというメディア(3):ハッシュタグとリストの効果

Twitterというメディア(4):まとめサイトと炎上と黒歴史



追記:これらの内容は、WebブラウザベースでTwitterを利用することを前提としており、Twitter専用のクライアントを利用した場合には挙動が変わることもあるのであしからず。

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