先義後利
2011年6月 7日 (火) 投稿者: media_staff
京都「麩」製造の老舗、半兵衛麩(はんべいふ)をご存知ですか?
半兵衛麩は、日経新聞の「200年企業」でも取り上げられた長寿企業。元禄時代の創業から太平洋戦争の動乱を生き残ったのです。五条界隈で異彩を放つ石造りの建物は、軽やかな京麩のイメージとは違い、質実剛健そのもの。
この半兵衛麩。代々伝わる家訓は「先義後利( せんぎごり )」といいます。正しい人の道を先にして利益は後にする。江戸期に「石門心学」をとなえた石田梅岩の影響だそうだ。商売を支えるのは、あくまで人間の信用、すなわち道徳であるという教えです。
半兵衛麩を守り続ける玉置家の主人は、以下の
先祖代々からの言い伝えを聞いて育つそうです。
<「言う」に人( にんべん )が付いたら「信じる」になり、信じる者が横につくと「儲かる」になる。つまり「商売の基礎は"信者"」をつくること。 >
現在は大変な就職難の時代。大学では四年生の「就職力」が問われています。しかし「就職力」って一体なんなのでしょうか? もちろんそれにはいろいろとあるのですが、最近よく聞くのは、対人関係を築き、人との信頼関係を作る「人間力」です。
ところがいまの「ゆとり世代」育ち学生には、これが一番の苦手らしい。なぜでしょうか?
「ゆとり世代」というと、学力低下、目的意識の希薄化、モチベーション不足などと言われます。しかし、大学で実際の彼らと向き合う中では、そのような印象はありません。むしろ、若い彼らは、大人以上に勉強をしたがっており、自己改革意識や向上心を持っていると感じます。原因があるとすれば、「ゆとり教育」における「道徳」の位置づけなのではないでしょうか。
半兵衛麩で家訓となっているのは「先義後利」でしたが、「ゆとり教育」では、それが「先利後義」になってまうのかもしれません。 授業時間を減らした結果、授業内容は受験戦争の「実利優先」となる。しかし、その結果「人間として何を大切にすべきなのか」「友人関係をどう築くか」など考える時間が減ってはいないでしょうか。
東京工科大学・メディア学部には「プロジェクト演習」をはじめ「実学」的な講義や演習があります。社会的な活動を柱とする「PBL(プロジェクト・ベースド・ラーニング)」なのです。
社会参加を経験することで人間どうしの「信頼関係」を築くすべを学ぶ。プロジェクトで「責任」を果たすことで、自信をつける。こうして学生の「人間力」をアップしていきたい。メディア学部では、こう考えています。
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