メディアサイエンス専攻の韓国出身マンガ家、金剛元さん「マンガ制作支援手法」を研究発表
2012年1月 9日 (月) 投稿者: media_staff
韓国出身マンガ家である金 剛元(Kim Kang won、キム カンオン)さんが、大学院メディアサイエンス専攻において研究した「ストーリーマンガ制作のための段階的なネーム構成支援手法」の研究論文が日本図学会 図学研究に掲載されました。
カンオンさんのマンガは、韓国版のみならず、英語版なども世界中で出版されています。多数のマンガを出版したことから、自分自身の経験を若い人へ伝えるために、マンガの教育方法を研究するために来日しました。まず、日本語を勉強しながら、日本工学院八王子専門学校でマンガ制作全般について学びました。
そして、本学大学院メディアサイエンス専攻で、マンガ教育のための調査を始めました。その結果、マンガ制作の後工程はさまざまな技術が確立されており、ストーリー制作の初期段階からネーム制作段階を整理することが大切であり、特に、ネームの制作が重要であることを明らかにしました。マンガ制作における「ネーム」はマンガを描くための設計図であり、マンガを描くための必要な情報がすべて含まれています。この研究ではこのネーム制作支援手法を提案しました。さらに、1999年に出版した34ページのマンガ「Sascha」と比較するために、提案手法を用いて新たにマンガを制作しました。これらの比較評価から、マンガの高品質化や制作の効率化に有効であることが分かりました。このような成果が高く評価され、研究論文として採録されました。
著者:金剛元 伊藤彰教 三上浩司 近藤邦雄 東京工科大学大学院 メディアサイエンス専攻
研究題目:ストーリーマンガ制作のための段階的なネーム構成支援手法
論文誌名:日本図学会 図学研究、第134号(2011年12月号)
研究論文概要:
韓国や日本ではマンガの特性を活かした創作手法の提案や制作工程の効率化が強く望まれている.特にマンガのストーリー構成とネーム制作手法の提案がマンガの質の向上と制作の効率化のために重要である.この課題を解決するために,本研究ではストーリーマンガ制作のための段階的なネーム構成支援手法を提案することを目的とする.このために,まず,ストーリー制作の初期段階からネーム制作段階までを分析し,その制作手順を明らかにする.そして,ストーリーとネームの構成要素を用いて,段階的なストーリー構成とネーム構成手法を提案する.さらにこの提案手法で用いる効率的な制作情報管理のためのシーン設定テンプレートとページ設定支援テンプレートを考案する.最後に,本研究の提案手法とテンプレートを用い,マンガ制作実験を行った.その結果,本手法の有効性が確認できた.
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