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 「表現の民主化とメディア技術」 大学院メディアサイエンス専攻 「メディアサイエンス特別講義Ⅰ」 その2

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2013年1月25日に次の大学院特別講義が行われました。とてもメディア学部の学生にとって大切な考え方や研究例をたくさん紹介いただきました。
タイトル:表現の民主化とメディア技術
講 師:明治大学 准教授 宮下芳明 先生 
  (2013年4月から 総合数理学部 先端メディアサイエンス学科)

Miyashitaface

概要:本講義では,コンテンツの制作と享受に関わるメディア事例を紹介しながら,表現の民主化と命名している現象と,そうした背景のもとでのインタラクションデザインのあり方について議論する.

講演内容:

◎表現の民主化
  表現は万人の権利のはずなのに、甘受する人と表現する人に分かれている現状がある。表現者として職業として食べていけないと「表現」はやってはいけないという感じがある。本来、だれでも「表現」はできるししていい。今は、もの作りも誰でも表現できる世界であり、デジタルファブリケーションの時代になってきた。
  情報科学技術を何のために使うのかということを考えたときに、「表現の民主化」に使うといいのではないかと考えた。さらに、人を幸せにするために使うという意識が持てた。
  今まで「表現」の消費者によるハイテンションな創作や支援技術は、プロも恩恵を受ける。プロはさらによくなるという循環ができつつある。消費者であった人が、小節を書いて、インターネットで公開する、CGアニメーションを制作してyoutubeで公開するなど、甘受する人と表現する人の区別がなくなってきた。
◎好意的解釈の重要性:ユーザを調子に乗せるインタラクションデザイン
従来からの伝統的な情報科学のプログラミング教育はなかなかテンションが上がらない。心が折れやすい状態から、調子に乗っている状態にするためのカギは、好意的解釈である。たとえば、プログラムのおかしいところは好意的に追加修正して実行してくれるというようなことである。プログラミングなって簡単じゃない?というようなものにしないといけない。コンピュータが頑固な世界が悪い。もっと人に優しい世界にしないといけない。
1. プログラミングに対するモチベーション向上を目的とした言語HMMMML http://miyashita.com/motivation.pdf
YouTube http://www.youtube.com/watch?v=HJH3q3E3ab0

Hmmmml

2. 好意的な解釈による回路制作 HMMBB
http://miyashita.com/2011/01/hmmbb.html

◎ツールやシステム制作の見方、考え方を理解するための研究例

物質的豊かさからの脱却を測ることが大切である。掃除機ルンバは、部屋の掃除をしてくれるので人にとっては手を省くことができる。これに対してインタラクティブな掃除機はゲーム感覚で 常の家事を楽しくおこなうとともに、子供たちが進んで掃除を手伝うようになる。効率化だけを考えていてはいけない。このようなことから、宮下研究室では次のようなさまざまな研究成果を発表している。
1. サンプリング書道  http://miyashita.com/2009/03/post-62.html

Miyashitafig1

2. 不可能立体のレイトレーシング http://miyashita.com/2009/03/post-61.html

Miyashitafig2

3. 表現を和らげてネガティブ感情伝染を防止するブラウザ http://www.wiss.org/WISS2012Proceedings/demo/095.pdf
http://miyashita.com/publications/cat26/index.php
5. 主観的輪郭を用いたラッピング支援:失敗をしないラッピングを目指して包み方のモデル化、探索アルゴリズムの提案を行った。
http://miyashita.com/2010/04/post-83.html


◎研究をすすめるために
新しいアイデアを出すために多くの勉強をしている。論文は研究室全体で年間1000編は読んでいる。アイデアノートを作成して、アイデアをまとめておくことをしている。議論をするためにホワイトボードをいっぱい使っている。そこには議論するためにたくさんの付箋紙を使っている。努力をたくさんしており、この時期になると、栄養ドリンクの空きビンの山が研究室にはできる。

宮下芳明先生の略歴:
千葉大学にて画像工学、富山大学大学院にて音楽教育(作曲)を専攻、北陸先端科学技術大学院大学にて博士号(知識科学)取得、優秀修了者賞。金沢学院大学美術文化学部 非常勤講師(2004-2005)。北陸先端科学技術大学院大学 科学技術開発戦略センター研究員(2006-2007)。2007年度より明治大学に着任。2008年度より 明治大学 大学院 理工学研究科 新領域創造専攻 デジタルコンテンツ系にも所属。2009年度より准教授。
音楽、映像、CG、ゲーム、メディアアートといったデジタルコンテンツに関する領域をはじめ、既存の枠組みにとらわれない研究を展開。ユーザー参加型研究のための学会、ニコニコ学会βの発起人の一人。2013年度より始まる明治大学総合数理学部の先端メディアサイエンス学科の立ち上げに際し、中心的な役割を果たした。

講演者Webページ:
宮下芳明 http://www.homei.com/
明治大学 情報科学科 宮下研究室 http://miyashita.com/

本講義は、大学院特別講義の第4回目でした。第1回から第3回までの内容はこのページで見ることができます。
第1回
講 師:ジャーナリスト(ゲーム・IT)     新 清士先生
講義タイトル:未来のゲーム~ゲーム産業で起きているビジネスと技術の行方
第2回
講 師:慶應義塾大学 教授 藤代 一成 先生
講義タイトル:計算報道学とその周辺 ― CG/可視化の新たな可能性
第3回
講 師:東京大学 教授 西田 友是 先生 
講演タイトル: インタラクティブ・レンダリングへの挑戦
(コンテンツ創作コース 近藤邦雄)

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