大学院メディアサイエンス専攻 「メディアサイエンス特別講義Ⅰ」の紹介
今年度から新しくなったカリキュラムにおいて、「メディアサイエンス特別講義Ⅰ」が開講されています。今年は、メディアコンテンツに関連した専門家4名の方をお迎えして、講演をしていただいています。
第3回まで終了しましたので、それらについて報告します。
■第1回 2012年11月30日
講 師:ジャーナリスト(ゲーム・IT) 新 清士先生
講義タイトル:未来のゲーム~ゲーム産業で起きているビジネスと技術の行方
新先生は、国際ゲーム開発社協会日本(IGDA日本)副代表であり、
日本経済新聞電子版「ゲーム読解」、
ビジネスファミ通「デジタルと人が夢見る力」、週刊アゴラ「ゲーム産業の興亡」などに連載記事を書いています。また、米国ゲーム開発の専門誌「Game Developers Magazine」 (2009年11月号)でゲーム産業の発展に貢献した人物として 「The Game Developer 50」に選出されています。
本講義では、ゲームの制作技術とコンピュータの発展、ゲーム産業を発展させるビジネスモデル、ソーシャルゲームの市場とユーザの関係、ゲームのプラットフォームなどについて講演いただいた。ユーザの分析をすることがゲームの面白さを作るためにも、ビジネスにも大切であることが説明されました。
新 清士先生
■第2回 2012年12月21日
講義タイトル:計算報道学とその周辺 ― CG/可視化の新たな可能性
慶應義塾大学理工学部教授として、可視化を中心にビジュアルコンピューティング研究に従事しています。芸術科学会副会長,Computers & Graphics誌Associate Editorなど多くの学会で精力的な活動をされています。
本講義では、従来の可視化技術などを計算報道学や計算美学の見方でさらに発展した領域としてとらえた研究成果を紹介していただきました。メディアサイエンスとCGや可視化の関係についても明確に説明をしていただきました。特に、パワーシフトとPAX(P. Kennedyの法則(1987)について歴史的な俯瞰から、「メディアサイエンスの使命:実世界の代替を越えた新しい価値の創造」を示していただき、本学メディア学部の学生らに大きな力を与えていただきました。さらに、計算○○学(Computational XXX)として新しい領域の研究を作っていくことが大切であることも指摘されました。
そのうえで、「計算報道学」Computational Journalism は、「説明責任(accountability)を負った事実伝達の方法論の確立を目指す新興メディア情報学領域」と考えることができ、コンピュータグラフィクスの新活用をさらに展開していくことが望まれること、計算報道には大きな役割は、「現実の報道を超えた説明責任の果たすこと」などの説明していただきました。
■第3回 2011年1月11日
講演タイトル: インタラクティブ・レンダリングへの挑戦
東京大学理学部情報科学科教授を経て、現在複雑理工学専攻教授としてCG技術全般の先端的な研究に従事しています。
1972年からCGの基本的技術である隠線・隠面消去問題、陰影処理に関する研究を行ない、特に相互反射光まで考慮したリアルな画像生成法(ラジオシティ法)をCGで最も権威ある学会SIGGRAPHで発表しています。CG分野の重要な技法のパイオニアとして、CG界のノーベル賞といわれるCoons賞を受賞されています。
本講演では、高速(インタラクティブな速度)なCG画像のレンダリング法や、会話的な手法によるCG映像作成法に関して、西田先生らの研究グループが開発した成果を紹介していただきました。これからの新しい先端的な研究を行うには、さまざまな分野の人とのコミュニケーションが大切で、複数の専門家、例えば、デザイナーとかクリエーター、音楽家などの他分野の方との協力が新しい分野を開拓することになるということでした。机の前で一人だけで研究しているのでは新しいテーマには挑戦しにくいというコメントでした。メディア学部では、このような協力を進めており、新しい分野の研究成果が出てきています。
なお、次回は下記のとおりです。多くの方のご参加を期待しています。
第4回 2013年1月25日 15:00~ 片柳研究所2階KE203
講 師:明治大学 准教授 宮下 芳明 先生
講演題目:(仮)先端メディアコンテンツでつくる未来
講演者の関連Webページ: