大学院メディアサイエンス専攻の博士論文公開発表会
2013年1月26日 (土) 投稿者: コンテンツ創作コース
■研究概要
「ディジタル機器・技術の進歩で人々は豊富な表現手段を手に入れた.文字・言葉・絵・音などの多様なリソースとそれらを加工するツールを状況に合わせて選択することが可能になり,自己の表現方法は多様化した.しかし実際に表現に用いられる手段の多くは依然として文字・言葉であり,他リソースの活用は進んでいない.なかでも視覚を刺激する画像リソースは,表現の手段として重要性が高く,表現への活用の活性化・コンテンツ制作への応用が望まれている.そこでまず発信者が表現を行うのに関わる構成要素を考察する.構成要素のうち,本研究では画像を用いた表現を支援するための画像メディアツールに着目し,画像表現の支援・活性化を目的とした画像ツールの構築を行う.
ツール構築にあたり,1.「画像表現の容易化」による画像利用の促進,2.「画像表現の効率化」による画像コンテンツの生産性向上,3.「新しい画像表現手法」による新たな画像表現需要の開拓を目指す.これをもとに画像表現が特に求められる領域と需要を特定し,5領域で画像メディアツールの構築を試みた.これによって「画像表現の支援・活性化」に有効であることを示した.状況に合わせた適切な画像表現の支援を行うことで,人々は画像を用いて自らを表現しやすくなり,文字・言葉と併せて,さらに豊かな表現を追求できるようになったと考えられる。
なお,研究成果の一端であるツールは 本ページからダウンロードできます。多くの人に使ってもらいたいです。本研究の成果の一部は、情報処理学会全国大会奨励賞、芸術科学会論文賞を受賞した内容です。
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題 目:「ストローク履歴を活用した3次元形状モデリング手法の研究」
発表者:竹内 亮太
■研究概要:ストローク履歴を活用した3次元形状モデリング手法の研究
「コンピュータグラフィクス技術の発達により,3DCGの描写力,表現力は大きく向上している.それに伴い,3DCGをレンダリングする元となる形状データのモデリング技術も,高度かつ複雑なものになってきている.
本研究では,点群というデータ構造に注目した.点群はポリゴンとは異なり,頂点間の接続を考慮する必要がなく,ただそこに存在するだけの構成要素である.点群の増減は,ポリゴンの増減よりも小さな処理コストで実現できるため,ユーザの入力に対する快適なインタラクションを実現出来ると考えた.点群を用いることで,ボクセルとは異なるアプローチから,3DCGにおけるラスター形式のデータ構造を提唱する.これにより,ユーザの入力をベクターベースで近似せず,解像度フリーで保持することが可能になる.
さらに,本研究はモデリングシステムにおけるユーザの入力履歴を重要視し,アンドゥ・リドゥを制限なく行えるようにすることと,編集手順の途中キャンセルや,入力操作を再利用可能にする機構の実現を目的とした.さらに形状モデリングに限らず,履歴を遡ったり,途中の操作のみをキャンセルしたり,分岐した履歴を保持したいという要望があるため,これらを実現する3次元形状モデリングモデリングシステムを開発した.」
これらの研究は、メディア学部の目標とするディジタルコンテンツ創作、インタラクティブメディア技術の発展に大きく寄与するとともに、表現技術の拡大を実現した研究として高く評価できます。
コンテンツ創作コース 近藤邦雄
コンテンツ創作コース 近藤邦雄
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