OB紹介: 独立行政法人 理化学研究所 情報基盤センター所属、センター技師 土田隆裕氏
2013年4月11日 (木) 投稿者: コンテンツ創作コース
OB紹介:
情報基盤センターは理化学研究所内で利用するネットワークやメールサーバー,スーパーコンピューターなどのITリソースの提供を研究者に向けて行っている部署です。
土田君は、2年前にメディアサイエンス専攻のコンテンツプロデューシングプロジェクトにおいて、キャラクターメイキングに関する研究を行い、大学院修士課程を修了しました。現在、横浜事業所でバイオインフォマティクスに関する研究者たちをメインターゲットにして仕事をしています.横浜事業所の研究者たちは、おもにゲノムデータなどの非常にデータサイズの大きいデータの解析を行っています。一方で取り扱うデータが膨大な量になっているために、データの保存先や解析処理が追いつかないという問題が発生しています。そこで土田君は研究者たちがより快適に,かつ迅速に研究が進められるように研究者向けの共有ストレージや計算リソースの調達と提供を行っています。
このような研究支援の傍ら、仕事の一環として研究を行っています。3月に行われた情報処理学会の「計算機アーキテクチャ研究会」で、発表した研究が認められ、若手奨励賞を受賞しました。また、その活躍によって、理研から技術奨励賞をもらっています。
このように、研究サポートをしながら、新たな成果を出していく能力は、メディア学部の情報技術関連教育と大学院メディアサイエンス専攻における幅広い分野の研究活動によるものと考えています。多くの学部生が大学院へ進学して、土田君のように、さらなる飛躍をしてもらいたいと思っています。
平成24年度 理化学研究所 技術奨励賞の受賞を記念して
野依良治理事長(2001年ノーベル化学賞受賞)といっしょに(写真)
①計算機アーキテクチャ若手奨励賞(情報処理学会研究会)
タイトル:KVMとXen Server上のゲストOSのベンチマーク結果の比較
著者:土田 隆裕,趙 武魁,黒木 一平,渡辺 勝弘,黒川 原佳,姫野 龍太郎
発表:第194回ARC・第137回HPC合同研究発表会(HOKKE-20)
②平成24年度 理研 技術奨励賞
受賞タイトル:仮想計算機環境における計算機アーキテクチャのフィジビリスタディ
(英語タイトル:Feasibility study of computer Architecture on environment of virtualcomputer)
■活動の概要
現在の研究内容は複数のハイパーバイザーと呼ばれるハードウェアエミュレーションシステム上にてLinux OSをインストールしベンチマークプログラムを実行し,それぞれのスコアの比較です。ハイパーバイザーを利用すると,利用しなかった場合に比べて性能の低下がおこります。しかしどのハイパーバイザーであれば実機と比較してどういった性能の低下がどの程度発生するのかを比較したものは見受けられません。本研究ではCPUの演算性能,メモリとネットワークスループットとローカルハードディスクのIO性能に着目し、それぞれベンチマークソフトを実行してそのスコアを比較した結果を示しています。
このたび、土田君が受賞した内容は計算リソースの提供に関する活動になります.情報基盤センターではより柔軟な形で計算リソースを提供できるよう仮想ホストによる計算リソースの提供を考案しています.
受賞した内容はハイパーバイザー(仮想ホストを作成するためのソフトウェア)による性能低下の調査とその比較を行い,その結果としてXenServerがIO性能において優秀であることが判明したという内容です。