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メディア学部のコンテンツ制作教育の成果により、関東工学教育協会賞(業績賞)の受賞

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2013年5月28日(火)に行われた関東工学教育協会総会において、メディア学部近藤邦雄教授、三上浩司准教授、渡辺大地講師が関東工学教育協会賞(業績賞)を次の標題で受賞しました。
「アニメやゲームなどのコンテンツ制作分野における実学的工学教育の創生と高度化」

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以下に人材育成の目的、特色、優位性、そして、推薦文を紹介します。
■趣旨・目的
アニメやゲームなどのコンテンツは日本の文化の一端を担っており,国際的な競争力も高く,近年注目を集める分野である.欧米を代表とする諸外国では,アニメーションやゲーム,映画などのコンテンツを専門とする大学が多く存在している.一方で,日本は制作現場での実務による習得や現場での経験が重視され,これまで体系的な高等教育がなく,専門学校等での実務教育が中心であった.
そこで候補者らは,工科系大学ならではの高度コンテンツ人材の育成することを目的とした.従来からの作品作り主体の芸術教育ではなく,ディジタル技術を駆使して,より論理的,効率的にコンテンツ制作を行うための手段や技術を開発できる次世代のコンテンツ制作人材の育成を目指した.
■特色
その実践に際して,文理芸融合の学部であったメディア学部の特徴を生かし,芸術作品ではなく,産業界における商品たるコンテンツをより速く,安全に,高品質に生み出すことを教育の柱とした.そのためには,コンテンツの制作技能の習得とディジタル映像の原理や技術の理解の双方が必要になった.候補者らは1年次からCGアニメやゲームなどの開発に参加できるカリキュラムを活用し,オリジナルの教材や制作システムを開発して,制作とそれを支える技術の双方を関連付けて学べる仕組みを生み出した[4][6].これにより,単に既存のソフトを使用して映像制作をするのではなく,その仕組みや原理を理解することができる.
こうした「原理を知る教育」は工科系大学ならではの「卒業研究」において重要になる.単に既存のツールを使った「卒業制作」ではなく,制作技術を革新させるための研究開発が必修となっている.これまでにない独自の映像表現のための研究開発など,高度な研究を実施する土台を,時間をかけて構築することがでる.現在では,学部生や大学院生の研究成果が国際会議や論文誌に多く掲載されるに至っている.
■優位性 
工科系大学における高度コンテンツ教育は,プロフェッショナルと同じ環境を用いた制作の経験を土台に,制作技術をさらに高度化させるための開発力を身に着ける教育である.こうした,体制を実現した背景には,大学の建学からの方針である「実学主義」とそれを実践可能な,産業界出身の教員が多数在籍していたことがある.これらを土台にした提案者らの「プロフェッショナルのものづくりと高度な工学教育を両立させた取り組み」は,未来のコンテンツ制作人材を生み出す優位性の高い教育カリキュラムとなっている.

 

■推薦文
アニメやゲームなどのコンテンツは日本の文化の一端を担っており,国際的な競争力も高く,近年注目を集める分野である.欧米を代表とする諸外国では,アニメーションやゲーム,映画などのコンテンツを専門とする大学が多く存在している.一方で,日本は制作現場での実務による習得や現場での経験が重視され,これまで体系的な高等教育がなく,専門学校等での実務教育が中心であった.
候補者らは,東京工科大学メディア学部において,工科系大学を基盤とする高度なコンテンツ制作技術の教育と研究開発に取り組んできた.従来は,一部の芸術系大学の中で,対象とされてきたコンテンツ教育において,工学的な知識の再構築を行い体系化することで,産業界からも注目を集めるコンテンツ制作教育手法を確立するに至った.
候補者らは,早くから大学内にアニメやCG,ゲームなどの制作プロダクション体制を整備した.この制作環境を活用し学生をプロジェクトベースで教育することで,産業界が必要とするディジタル映像人材を育成してきた.これらの人材はクリエイティブな制作経験を積むと同時に,高度な情報技術を身に付けることができるため,産学連携のプロジェクトが数多く生まれ,それら学術界のみならず産業界で高く評価された.
アニメの分野では,コンピュータや3DCGの導入に伴う制作工程の変化に際し,従来からの技術をディジタル技術に発展的に移行するために,制作工程の詳細な調査とその体系化を行った.これらの成果は「プロフェッショナルのためのデジタルアニメマニュアル」として,業界団体を通じて,アニメーション制作会社や映像制作会社などに配布され,日本のアニメ制作をもっとも詳細に記した書籍として評価されている[1].
また,映像作品の工学的な分析に基づき「シナリオの執筆手法,評価手法」さらには,「キャラクターメイキング,評価手法」[2],「ミザンセーヌ手法(演出手法)」[3]など,従来は勘と経験による分野を体系化した.これらの研究成果もとに,映像コンテンツ制作にかかわる最大の業界団体である「映像産業振興機構(VIPO)」と連携して人材育成セミナーを実施するとともに,CG-ARTS協会では,大学・専門学校の教員向けセミナーを実施し,極めて高い評価を得ている.
ゲーム開発においても,CGプログラミング教育カリキュラムやCG基盤ライブラリを開発し、ゲーム開発教育の基礎を充実させるとともに、他大学に先駆けて4年間にわたる実践的なカリキュラムを整備し,継続して発展させてきた.この結果,日本のゲーム教育の拠点として,国内外のゲーム開発にかかわる団体から認知されるに至った[4][5][6][7][8][9][10].
上記のようにアニメ,映像,ゲームなどの産業界において,工学教育の重要性を広め,その教育,研究成果を持って産業界の発展に寄与する仕組みを生み出した候補者らは工学教育賞に値すると考えここに推薦する.

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■参考文献
◎著書
[1]東京工科大学/デジタルアニメ制作技術研究会,(編集:三上浩司他12名):プロフェッショナルのためのデジタルアニメマニュアル2009 ~工程・知識・用語,東京工科大学/デジタルアニメ制作技術研究会,pp1-336,2009.11,著者,筆頭編者
[2]金子満,近藤邦雄:キャラクターメイキングの黄金則,ボーンデジタル,2010
[3]金子満,近藤邦雄,三上浩司,渡部 英雄:映像ミザンセーヌの黄金則,ボーンデジタル,2012
◎教育にかかわる学術的な成果
[4]近藤邦雄,伊藤彰教,三上浩司,渡辺大地 「Example Based Programmingに基づくCG制作の入門教育」,日本図学会図学研究,第45巻3号,pp.3-10,2011.9
[5]Koji Mikami, Taichi Watanabe, Katsunori Yamaji, Kenji Ozawa, Motonobu Kawashima, Akinori Ito, Ryota Takeuchi, Kunio Kondo, Mitsuru Kaneko ",Construction Trial of a Practical Education Curriculum for Game Development Through Industry- University Collaboration in Japan, Computer & Graphic Journal ""An International Journal of Systems & Applications in Computer Graphics ",34,pp. 791-799,201011
[6] 渡辺大地,竹内亮太,三上浩司,近藤邦雄:「独自ツールキットによるスケーラブルなCGとゲーム開発の教育研究実践」,情報処理学会グラフィクスとCAD研究会第146回研究発表会, 2012.2
[7] 中村 陽介,三上 浩司,渡辺 大地,大圖 衛玄,伊藤 彰教,川島 基展,竹内 亮太:「多様化するゲーム開発スタ イルを見据えた新しい教育 カリキュラムの実施報告」,情報処理学会グラフィクスとCAD研究会第146回研究発表会, 2012.2
[8]三上 浩司,中村 陽介,渡辺 大地,山路 和紀,小澤 賢侍,伊藤 彰教,川島 基展,竹内 亮太,近藤 邦雄,金子 満:「日本における産学連携によるゲーム制作の実践教育」,情報処理学会グラフィクスとCAD研究会第142回研究発表会, 2011.2
◎報告書
[9] 現代的教育ニーズ取組支援プログラム 「インタラクティブ・ゲーム制作の実践教育」講義実施マニュアルv2.0,2008
[10] 文部科学省 産学連携による実践型人材育成事業 専門人材の基盤的教育推進プログラム「ゲーム産業における実践的OJT/OFF-JT体感型教育プログラム」報告書,2011
[11] 平成21年度 アジア人財資金構想 高度専門留学生育成事業“次世代のグローバルコンテンツブリッジ人財の実践教育”報告書,2010

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