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「マルチモーダルインタラクション」いよいよ発刊!

2013年9月24日 (火) 投稿者: インタラクティブメディアコース

さて、後期の授業開始とともに「マルチモーダルインタラクション」が発刊されました!

9784339027846

 榎本美香(ただの講師)、飯田仁(前学部長)、相川清明(現学部長)の共著ということにあいなりました。3人三様、それぞれに少しずつ力んだ結果、ページ数は当初の予定を大幅に超え、総240ページとなっております。にも関わらず、お値段3,000円とコロナ社さんに頑張っていただいております。

 業務連絡:専門演習「コミュニケーション・アナリシス技法」の教科書です。履修者の皆さんは購入してくださいね(・∀・)

 さて中身は、というと、言語・音声・非言語(視線やジェスチャなど)というコミュニケーションにとって根幹となる情報伝達のためのモダリティがそれぞれどのような仕組みでどんな風にインタラクションの中で利用されているかということについての解説書になっております。

 書き出ししょっぱなを引用しておきましょう。
人間は自己のいくつかの感覚器官から得られる情報を統合して世界を経験し ている。川端康成の有名な『国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。』 という一節の中には、トンネルの暗がりから白銀の雪面の上に紺の夜景色が広 がり、雪の冷気を感じるという世界に移動したという視覚感覚と皮膚感覚と平 衡感覚が融合して体験されている。このいくつかの感覚器官を通して複合的に 得られる情報を「マルチモダリティ」という。人はマルチモダリティを利用し て環境や他者とインタラクションしているのである。

ここ実は飯田先生と何度か練り直したんです。『雪国』の冒頭は次のようになっているわけです。

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国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。夜の底が白くなった。信号所に汽車が止まった。向側の座席から娘が立って来て、島村の前のガラス窓を落した。雪の冷気が流れこんだ。娘は窓いっぱいに乗り出して、遠くへ叫ぶように、

「駅長さあん、駅長さあん。」

明りをさげてゆっくり雪を踏んで来た男は、襟巻で鼻の上まで包み、耳に帽子の毛皮を垂れていた。

もうそんな寒さかと島村は外を眺めると、鉄道の官舎らしいバラックが山裾に寒々と散らばっているだけで、雪の色はそこまで行かぬうちに闇に呑まれていた

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国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。夜の底が白くなった。」の部分。バラックが山裾に寒々と散らばっているだけでそれ以外の建物はないというような夜景色があって、地面には雪が積もっているわけです。雪がなければただの闇なわけです。最初は「トンネルの暗がりからパッと白銀の世界へ」と言い換えてみたのですが、『そんなに明るい白じゃないんだよな。やっぱりあれは、「夜の底が白くなった」としか言いようがないんだよなあ』と飯田先生。『仰るとおりなんですが、なんとか文学的表現ではない表現で、もっと明示的にマルチモーダルが使われていることを書きたいんです!』と食い下がる私。試行錯誤の結果、まあ先に引用した形になったわけです。あまりビシっと収まってるとは未だに思えないですが。いや、ここ一番苦労しました。もっと良い案あれば誰か教えてください。改稿します!



本来は、去年の夏休みに仕上がる見積もりだったのですがね、相川先生は去年の夏休みにほとんど書かれていました!いやちょっと無理だなー、無理ですよねぇーと若干2名が繰り返し、冬休みを超え、春休みとなり、、、さすがにコロナ社もソワソワしだし。そんな中でですね、何と春休み中に飯田先生が大枠を書き上げられたのです!これはまずいなと思いつつ、、、ゴールデンウィークに私頑張りました!100ページ書きました!GW明けに恐る恐るメールをくださったコロナ社の新井さん、ここまで書きましたっ!と意気揚々と返信しましたところ、相川先生から「僕ビックリしちゃった」との感想をいただきました。いや遅筆にて皆様にはご迷惑をお掛けいたしました。何とか今回発刊に漕ぎつけられたのも、相川先生の弛まない催促と、飯田先生の優しい励まし、コロナ社の新井さん・安達さんの心尽くしがあってのこと。感謝感謝です。

(榎本)

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