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おもしろメディア学 第4話 体育会系メディア学

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メディア学部に入学した最初の学期に情報リテラシー演習という科目があります。その中にタイピング実技があり、タッチタイピングを身につけます。テストでは、キーボードでPCに文字を打ち込む速さが一定以上でないと単位がもらえません。


長年演習を担当している先生の話だと、入学してくる学生のタイピング技能は年々確実に上がっていたが、ここ3年ぐらいは逆に下がっているそうです。スマホや携帯端末が普及し、PCを使う機会が減りキーボードを使わなくなったからと推測できます。

メディア学部に入る前に、普通の科目のほかにどんな勉強をすればいいかと聞かれることがあります。誰にでもお勧めできるのは、ちょっとスマホや携帯を脇に置いて、PCでタッチタイピングを練習することです。

メディア学は情報の伝達にかかわる学問です。情報は人から人にちゃんと伝わって初めて意味を持ちます。まとまった文字情報を発信する人はキーボードで情報を伝達します。タッチタイピングができないということはメディアの重要な部分でやる気がない、ということになり、メディア学を学ぶ資格はない……かもしれません。

屁理屈はさておき、どの大学で学ぶにしても絶対に役立つのはタッチタイピングを身につけることです。各科目で要求されるレポートはほとんどの場合PCを使って書きます。提出は手書きという指定でも途中はPCを使う方がいいです。メディア学部の授業では、ノートPCで授業時間内に短いレポートを提出させる場合も多いです。


タイピングが速いと思考も中断せず効率が上がり、PCを扱うのが楽しくなります。ほぼ毎日かなりの時間のことですから何年も積み重なったら相当な差がつきます。

タッチタイピングについてはWebで調べればたくさん解説が出てきます。無料練習ソフトも入手できます。ぜひ練習してみてください。

あえて付け加えると、大袈裟ですが、一文字一文字強い意志で打つのが大事です。各キーは絶対決められた指で打つ、ホームポジションを保ち指先だけを動かす、キーボードは見ないで画面に出た文字を見る。この辺は完全にスポーツの練習と同じです。タイピングの練習は横にコーチがつくわけではないので、自分で自分を律することが必要です。

ベイビーステップの主人公エーちゃんのコーチは言っています。「テニスは球を打った時の感覚とその球がどこに落ちたかという認識、そのふたつが備わった『確かな一球』を打ってはじめて上達する。この一球の蓄積こそが上達なんだ」。タッチタイピングにも当てはまる話です。

私は情報系のエンジニアとして何社もの会社で働き(転々として?)、数多くの同僚を見てきました。少数の例外を除けば、仕事のできる人はタッチタイピングが速かったです。特にプログラマーはその傾向が強いですが、他の職種でもその傾向はありました。

タイピングが遅いと、あまり仕事の経験がないとみなされます。寿司職人がおにぎりを握るようにして握った寿司は食べたくないし、タクシー運転手が肩ひじ張っていたら車を降りたくなります。仕事でのタイピングも同じです。

私は大学を出たばかりのときタッチタイピングができませんでした。会社の同期の多くがすばやくあざやかに文字を打つのに比べて、とても肩身の狭い思いをしたことを憶えています。

受験勉強ではタイピングは役に立ちませんが、勉強の息抜きにタッチタイピングの練習をするのもよいかもしれません。大学に入ってから必ず役に立ちます。大学入学が決まったら、気合を入れて「確かな一打」を蓄積してください。
(柿本正憲) 

参考文献:
    勝木光,「ベイビーステップ」第2巻,講談社コミックス,2008年3月.

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