「おもしろメディア学」第5話 チューバの音がチューバだとわかるわけ
2014年6月18日 (水) 投稿者: インタラクティブメディアコース
まず、次の音を聞いてみてください。
これは金管楽器の音なのですが、なんという楽器でしょう?これはチューバの音です。「どんなふうに鳴ってましたか?」と質問されたら、みなさんは、何と答えますか?もう一度、音を聞いてみてください。耳を澄ましてよく聞くと、あえて言葉で表現するならば「ブォアー」という感じになっているのがわかります。
吹奏楽団による行進曲の演奏などでも、大きくて低い音を出すホルンなどは「フンガー」という感じに聞こえます。こう書いてみると、楽器音は単なる「ブー」とか「ボー」とかではないんじゃないか?と思いたくなってきます。実は、楽器は非常に短い時間の間で音が変化しているのです。そして、その変化の仕方が楽器らしさを醸し出しているのです。
それでは、その「ブォアー」と聞こえる仕組みを調べてみましょう。
図1 チューバの音の三次元サウンドスペクトログラム
色のついた紙のようなのが何枚か立ててあるようにも見えます。これ1つ1つが倍音と呼ばれる音の成分です。一番右側にある成分は基音と呼ばれ、これが楽器音の高さに関係します。その他の音の成分の周波数は基音の周波数の整数倍で、その結果、音の成分が規則的に紙を立てたように並んでいるように見えるのです。右から5枚目くらいにある赤い色がついている音の成分は初めから音の強さが強いことがわかります。周波数で800と書いてあるあたりの音の成分はしばらくしてから音が強くなってくることがわかります。つまり、高い音の成分は低い音の成分に比べ、時間が遅れて出てくるんですね。これが「ブォアー」と時間的に音が変化しているように聞こえる理由なのです。
この様子は楽器によって違います。以下のトランペットの場合を見てください。すべての倍音成分がほぼ同時スタートしています。しかも、周波数もチューバの10倍の10kHz(10000ヘルツ)にまで達しています。これが、トランペットの音が元気よく聞こえる理由です。音の時間長はチューバの場合と同じく0.6秒です。
図2 トランペットの音の三次元サウンドスペクトログラム
「おもしろメディア学」カテゴリの記事
- 【研究紹介】お城を数値で作り上げる!:日本城郭のプロシージャルモデリング(2019.01.22)
- 【研究紹介】プロジェクションマッピングはエンタメだけじゃない!プロジェクションマッピングによる動作支援(2019.01.15)
- 高大連携企画・映像制作ワークショップを開催しました(2019.01.14)
- 【再掲】世にも恐ろしい本当にあった話...(からぁ~の,エール!)(2019.01.09)
- 【研究紹介】”匂い”で季節感を感じさせることはできるか?(2019.01.06)