「おもしろメディア学」第3話 お化け音がいい音に化ける
2014年6月 6日 (金) 投稿者: インタラクティブメディアコース
みなさん、こんにちは。
前回、「お化けの出そうな音」の話をしました。「元気のいい音」や、「落ち込み音」も、実は同じ音の仲間であるという話もしました。これらは、いずれも音の高さにあたる周波数が変化する音でした。
それでは、次の音を聞いてみてください。
何の音に聞こえましたか?秋の夜を楽しませてくれる虫の声のように聞こえたと思います。実はこの音も図1と同じ種類の音なのです。ただ、音の高さはとても高い。なんと、音1の10倍以上高い6000Hzです。そして、ビブラートが1秒に6回だったものが、はるかに多い20回となっています。実際の虫の声はこの音に非常に似ています。秋の虫は羽をすり合わせて音を出すため細かく見ると音は途切れていますが、音の高さが細かく変化するという特徴は同じです。
ビブラートが6回から20回になると、もはや音の高さが時間とともに変化しているということがだんだんわからなくなってきます。さらにさらにビブラートの回数を増やしたどうなるでしょう。次の音を聞いてみてください。
どうでしょう?なにか、ブザーのようでもあるし、「あー」という人の声のようでもあるし…。これは周波数880Hzの音を1秒間に150回もビブラートかけた音なのです。こうなってしまうと、ビブラートどころか、880Hzという音の高さも感じ取れなくなってしまいます。実際この音の周波数分布をみてみると、以下の図のようになります。
図2 ものすごく速いビブラート音のスペクトル(周波数成分分布)
針のようなものがたくさん見えます。横軸は周波数で、針の1つ1つがそれぞれ別の高さの音の成分です。針はたいへん規則的に並んでいます。これらの針のことを倍音(高調波)と呼びます。このように、等間隔に針が並ぶ構造が楽器音や人の声によく似ているのです。よく見ると、針の高さがまちまちですね。この針の高さの分布の起伏形状が音の音色を決めるのです。この方法をうまく使うといろいろな音色の音を作ることができます。これがFM音源と呼ばれる楽器音の合成方法の1つなのです。
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