おもしろメディア学 第12 話 ウソの長さを描くと正しく見える?
2014年7月22日 (火) 投稿者: コンテンツ創作コース
八百屋にきゅうりを買いにいきました。同じ値段のきゅうりが次のように配置されている様子を見て、すぐに、「縦のほうが長くて得だ!」と直感で思って、買ってきました。この選択は正しいか?
図1 2本のきゅうり
さて、次の3つの図をみてください。縦の線と横になっている線が同じと見える図はどれでしょうか?
図2 垂直・水平の線分の見え方
答えはあとからと書くとして、この問題は、垂直・水平錯視(フィック錯視)を利用しています。
この錯視は縦線と横線は同じ長さであるが、縦線の方が長く見える大きさの錯視の一つです。周りの学生に聞いてみると、図(1)が一番多く選択していて、縦と横の長さが同じように見えるとのことです。定規と使って長さを測ってみてください。実は、図(1)は縦の線は横より短いのです。図(2)、図(3)はどうでしょうか? 定規で図るとわかりますが、縦と横が同じ長さの図は、(3)です。しかし見た目は、図(3)の縦線は長く見えます。
最初に紹介したきゅうりの長さも実は同じです。一つの写真を90度回転しただけす。従って、キュウリの購入者には損得は関係ないということになります。ただ、八百屋さんからいえば、縦にしておいたキュウリが長くみえるので、喜んで買ってもらえるということになります。
図3は、正方形らしく見えますが、どれが縦横の長さが同じ正方形でしょうか?少しおかしい聞き方ですね。正方形は4辺が同じ長さでないといけません。どの図が正方形に見えますかという質問があった時、あなたはどれを選択しますか?
図3 3つの正方形
じっと見ていると図(3)の縦方向が少し長く見える人がいるようです。皆さんはどれが正方形に見えますか? デザインを学ぶ人はこのような錯視を理解して、ウソの長さを描いていても、見る人にとっては正しく見えるようなデザインをしていることがあります。視覚と錯覚は、このように図や画像を描くときにとても重要な事柄を与えてくれます。
キーワード:フィック錯視、垂直・水平錯視、正方形の見え方、デザイン
参考文献:
1.高梨 隆雄:美的設計方法論、ダビッド社、2002
2.北岡明佳の錯視のページ :
http://www.ritsumei.ac.jp/~akitaoka/
3.きゅうりの並べ方の話題:早稲田大学名誉教授安藤紘平先生の講演をもととしました。
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