3D映画の光の秘密~円偏光
2014年8月23日 (土) 投稿者: インタラクティブメディアコース
こんにちは、
立体的に見える映画が普及しましたね。立体的に見せるための方法はいろいろありますが、その中でRealDと呼ばれる方法を採用している映画館では、サングラスのような黒いメガネをくれます。これをかけて周りを見回しても普通にみえるだけですが、映画が始まると途端に立体的にみえてきます。
RealD方式の映画館の映写機から投影される光は特別な細工がしてあります。物が立体的に見えるためには左目と右目に違う方向から見た映像が入ってくる必要があります。みなさんも、右目と左目を交互に開いてみれば、今見えている物の配置がちょっと違ってみえることを確認できるでしょう。ですから、映画を立体的に見せるためには左目に左目用の映像、右目に右目用の映像が見えるようにしないといけないわけです。
さて、光は電波と同じで、電気のプラスマイナスの変化が伝わっていくものです。空間中でのプラスマイナスの配置を電界と呼びます。自然界の光はこのプラスマイナスが変化する方向がまちまちなものが混じり合っています。しかし、人工的な光ではプラスマイナスの振動方向を特定の方向にすることができます。このように、プラスマイナスの変化が1つの方向に決まっている光が偏光と呼ばれるものです。
RealDでは電界方向を回転させます。これを円偏光と呼びます。そして左回転あるいは右回転と回転方向の違う2種類の円偏光に左目用の映像、右目用の映像を乗せて投影するのです。そして、はじめに登場したメガネ、これが、右回転の偏光を左回転の偏光をより分けてくれて、左目には左目用の映像を、右目には右目用の映像だけがみえるようになっているのです。
さて、それでは、円偏光を作り出すにはどうしたらいいのでしょうか?
2種類の偏光を用意します。電界の強さは場所により変化し、三角関数で表されます。次の図1を見てください。青い波と緑の波、位置がちょっとずれてますね?角度が90度違います。
図1 青い波と緑の波は90度角度がずれている。
さて、この緑の波のプラスマイナスの振動方向を水平に、青い波のプラスマイナスの振動方向を垂直に配置してみましょう。2種類の電界の強さをベクトルとして足し合わせたものが合成された偏光の電界方向となります。偏光は時間とともに流れていきます。ある場所でその合成した偏光の方向を見てみましょう。
図2 円偏光の発生のしくみ
どうですか?やや太い青線と緑線が2種類の光の電界方向を表しています。そして、一番太い赤い線が合成した偏光の電界方向を表しています。
回転しているでしょう?逆回転するものも同じように作れます。これに左目ようの映像、右 目用の映像を乗せれば、3D映画のできあがりです。
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