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e-AT - 電子情報技術による障がい者支援

2014年8月29日 (金) 投稿者: ソーシャルメディアサービスコース

皆さんは、アシスティブ・テクノロジー(ATAssistive Technology)という概念をご存知でしょうか?これは、何らかの障がいや困難を抱える人、あるいは幼児や高齢者の日常生活を支援する技術の総称です。身体障がい者用の車いす、視覚障がい者用の点字、聴覚障がい者用の補聴器、高齢者用の遠視メガネなどはATの最たる例です。

そしてこの概念は、1990年代頃より、電子情報技術を援用する e-ATelectronic and information technology based Assistive Technology)という考え方に名実ともに進化してきました。あらかじめ組み込まれたプログラムにより、車いすの乗り降りをボタン一つで補助したり,点字内容を自動読み上げするなどのことは今や当たり前の支援技術です。また、伝音性難聴者のための骨伝導イヤホンのような機器も登場してきています。これらはすべて e-ATの範疇です。昨今は、ジェスチャー(手の動きなど)により電子機器のスイッチを入れたり、脳波を検知してパソコン上に文字入力するなどのことが現実のものとなってきています。これらは最先端の e-ATと言えますね。

さて、私の研究室では、この e-ATの観点から、聴覚障がいを抱えている児童の学習支援の研究を長らく推進しています。聴覚障がい児は概して文章読解に難を抱えていますので、内容を分かち書きにしたり、ルビを振ったりするなどの工夫をこらした eラーニングコンテンツを開発するとともに、インタフェースやタンジブルデバイスの活用法の研究を行ってきました。今年度は、算数の文章題を題材に、児童の注視点を分析(アイトラッキング)し、そのデータをもとに注視が弱い部分の指導を強化する学習プログラムの開発を試みています(下図参照)。


   Eyetrakking_7   Upic_7

〔図〕 アイトラッキング分析(左)に基づく学習指導(右)


最後に余談です。障がい者のためのオリンピックに相当するパラリンピックというものが最近認知されるようになってきました。ただ、そこに聴覚障がい者が参加していないということをご存知でしたか?ここでは詳細を説明しませんが、デフリンピックというキーワードで検索をかけると、その経緯を含めて諸々のことがわかります。興味のある方は是非とも調べてみてください。 

以上

(文責: メディア学部 松永)

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