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文系でも数学を

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メディア社会コースは、メディア学部の中では、いわゆる文系のコースと言っていいと思います。社会的なメディア、ソーシャルと名の付くことがら、ビジネスなどについて研究したり応用したりしています。
私もメディア社会コースに属しているので、文系であるビジネス関連の科目や卒業研究を担当しています。
一方、私は研究者としては数学が出発点なので、数学の科目も担当しています。
いずれの科目でも数学が出てくると「数学が嫌いだから文系にしたのに、数学を勉強することになって大変です」といった言葉を聞きます。
メディア学部では文理芸融合と言うようなこともあって、文系や芸術系と自称する学生たちが多くいます。その中にいる、高校ではほとんど数学を勉強しなかったという人から聞く言葉です。
なぜ文系や芸術系では数学はいらないと考えられているのでしょうか。それは古い文系観、芸術系観にもとづいているからだと思います。
昔々、文系や芸術系で功成り名遂げた人が(特に日本人に多いようですが)「数学なんて役に立たないから勉強しなかった」と自慢げに(?)言ったことが、長い間、信じられてきたからではないかと思います。
現在、大学以降の研究機関や企業などで分野を問わず数学を使わないことはないと言っていいでしょう。もちろん、文系でも芸術系でもです。
理由は簡単です。数学は道具だからです。精緻で便利な道具です。科学の共通言語と言う人もいます。少しの前提から時には信じられないほど多くの結論を論理や計算だけで導き出すことができます。しかも前提が正しければ結論もすべて正しいのです。コンピュータを使えば簡潔な命令で多彩な表現が可能になります。
歴史を振り返ってみると、古代から現代にかけて、自然科学方面では、工学(建築・測量)、物理学、化学、生物学と数学が使われるようになり、芸術方面でも工芸、音楽、絵画で数学が使われてきました。人文社会科学では、ずっと最近ですが、近代になって経済学で成功すると、心理学、経営学、社会学、文学と次々に文系分野でも数学が使われるようになってきたのです。
また企業の人たちと話をしていると、よく聞くのは、仕事の上で突然、数学が必要になることがあるということです。データの分析に統計学や確率論が使われたり、モデルを作るのにさまざまな方程式が使われたりするからです。
哲学や芸術などの分野の人たちから批判があるように、もちろん数学もまた現実そのものではありません。確かに現実のもつ深みや質といったものを数学で完全に表すことはおそらく永久にできないし、数学を使わないでも文系や芸術系の研究や活動はできるでしょう。しかし、今後は数学がどんどん入ってくるでしょう。上のような理由で道具として使わないという分野はますます減っていくに違いありません。
数学が嫌いだと思っている人はどうすればいいでしょうか。まずは数学の先生、あるいは数学を使う分野の先生に相談することをお勧めします。もしメディア学部の学生になったのなら幸いです。長年の経験から理工系の教員でも文系や芸術系に理解があります。文系や芸術系の教員で数学を使う人もたくさんいます。
数学は時間さえかければ誰にでもできます。そういうふうにできています。また、よく言われているように、数学のことがらで聞いて恥ずかしいことは何もありません。ぜひ、はじめから毛嫌いしないで、文系だと思っている人こそ数学を勉強してください。決して損にはならないでしょう。
(小林 克正)

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