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おもしろメディア学 第34話 立体視で間違いさがしを簡単に。

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 映画館では、最近3D映画がよく放映されています。この記事では、どうしてスクリーンに映し出された映像が3次元空間に浮かび上がって見えるかという原理について紹介します。
人間には2つの眼があります。一つの眼の構造は、よくカメラのレンズとフィルムに例えられます。一つの眼でみた風景は、一枚の写真に置き換えることができます。しかし写真からは現実にみているような空間的な広がりはなく、人は左右の眼で見ることによって、空間的なひろがりを認識できているのです。
さて、図1は何を表しているでしょうか?3つの円がみえます。これはある方向から見た立体を表しています。どういう立体を思い浮かべることができますか?

Circle

                                                   図1 3つの円
この画像の横に、もう一つの画像を図2のように置いてみます。これは左の図を同じ大きさの3つの円のうち、2つ目の円を水平に少しずらした画像です。これは単に円の位置を移動しただけの画像です。これは両眼視差を利用したものです。この1組の画像は立体視図(ステレオ画像)といい、両眼でみると、移動した円が浮き上がってみえるか、へこんで見えるかのどちらかです。この違いは、左右の眼でそれぞれどちらの図を見ているかの違いによります。左右の画像をそのまま両眼で見る場合、平行型立体視といい、左の画像を右眼で見て右の画像を左で見る場合は交差型立体視と呼んでいます[1]。

Stereocircle

                    図2  同心円と立体形状
立体視のためのさまざまな機器が販売されていますが、両眼で2つの画像を見ると空間を見ることができます。ただ、人は機器を使うことなく、立体空間を見ています。少しおおざっぱにいえば、2つの画像を見るとは、2つの眼で見ている状態を作っているということになります。2つの画像を肉眼だけで立体視できる能力をほとんどの人は持っています[2,3]。
 

Freehand

                     図3 空間曲線の作図
プレゼンテーションの図形作図ツールでも簡単に立体画像を描くことができます。図3は左の図をもとに、茎に対応する曲線の形状を少し膨ませたり、縮めたりています。葉の形状は左右の高さが変わらないようにしているだけです。これによって、左右の眼で見た空間的な曲線と歯の形状を表すことができます。このように簡単な空間曲線を書くことができますが、大量の図を描くには、コンピュータグラフィックスの力が大切です。

図4は、多面体モデルを少しずつ回転させて並べた画像です。隣同士の図形を立体視すると、飛び出てみえる人と、へこんで見える人がいます。これは肉眼立体視をするときに、図に示すように左右の眼でどちらの図を見ているかによって違うのです。平行型と交差型の2つになります。この図の例の場合、飛び出てみえている方は交差型で見ているということになります。

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                                            図 4 多面体の立体視画像
しかし長い時間、肉眼で立体視をしていると疲れてしまいます。3D映画など長い時間みるためには立体視用のメガネを利用することが必要ですし、コンピュータで生成される仮想空間を見るには、ヘッドマウントディスプレイなどが有効な機器といえます。デジタル機器の発展が映像コンテンツの表現を拡大していますので、それをうまく生かすことが大切です。このとき、人がどのように空間を見ているかを知っておくことが、「よいコンテンツ」を制作するために大切なことです。
さて、
この記事を読んでいただいた方へ, 私の特技のひとつである、新聞や雑誌でよく見る「2つの図の間違いさがし」の競争に勝つ方法を紹介します。図5は、間違いさがしの2つの図です。この左右の画像はいくつかの違いがあります。さて、すぐにこの違いっているところを見つけることができますか?

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                                    図5 間違いさがしの図

答えはとっても簡単です。
肉眼立体視をすることです。
まず2つの眼にはそれぞれ左右の画像をみます。この画像はそれぞれ左右の眼から脳に情報が渡されます。このとき、脳では一つの画像として理解しようとします。しかし、異なった部分があると、ちらついてみえるのです。2つの図を立体視すると、ちらついたり、奥行きが異なったり、図形が傾いたりしていますのですぐにわかります。そこをチェックすると、左右で異なっている部分、つまり間違いの部分が見つかることになります。この間違いさがしの正解は、後日このブログで紹介します。
このような両眼で3次元空間を見ることを利用した機器には立体メガネ、3次元ディスプレイやヘッドマウントディスプレイなどがあり,コンピュータグラフィックスを利用したさまざまな3D映像が制作され映画館やテレビなどでみることができます。これらの機器は、1980年代に比べて格段に進歩しており、映像を楽しんでみることができるようになってきました。ただ、短時間で少し立体的な空間を見るだけであれば、肉眼で立体視することもいい方法であると思います。肉眼で立体視をしてみたいという方は、参考文献[2,3]をご覧ください。85%以上の人が肉眼で立体視することができます。
キーワード:カメラの構造、立体視、肉眼立体視、両眼視差、ヘッドマウンドディスプレイ、仮想空間
参考文献
1. 近藤邦雄, 田嶋太郎, モダングラフィックス, コロナ社, 1982
2. 田嶋太郎, 近藤邦雄,肉眼立体視の手引き, 日本図学会, 図学研究27号 1980.9
3. 近藤邦雄, 田嶋太郎, 肉眼立体視に関する実験, 日本図学会, 図学研究28号1981.3
執筆:近藤邦雄

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