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メディア学NG集~1~シンセ失敗談

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メディア学部では、「メディア専門演習」と呼ばれる独特な演習を行っています。学生は20種類ほどの演習の中から好みの演習を2種履修します。その中の1つが「音・音声インタフェース」です。この演習はプログラムで楽器音シンセサイザや音声分析アプリを作ります。

この演習を企画したときのことです。できるだけ少ないプログラムで楽器音シンセサイザを体験してもらうため、試行錯誤していました。楽器音を合成するには、音の高さを決める「基音」の他に、2倍、3倍など整数倍の周波数をもつ倍音を同時に発音させる必要があります。実は、正確に言うと同時ではないんですね。倍音が出始めるタイミングは高い周波数ほど遅れるのです。図1を見てください。これはトランペットの音のサウンドスペクトログラムで、横軸は時間、縦軸は周波数です。横線の一本一本が倍音です。赤い折れ線で示すとおり、高い倍音ほど、出るタイミングが遅れていることがわかると思います。この遅れ方が楽器らしさを醸し出しているのでとても重要なのです。
 

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                図1 トランペットの倍音の出方

 

全ての倍音がそろうまでの時間をアタックタイムと呼びます。この図を参考に楽器音合成のプログラムを作ってみました。

 

出るタイミングを高い周波数の倍音ほど遅らせればいいので、図2のように倍音が少しずつ遅れて出るようにしてみました。同種の音を時間を遅らせて出すので、プログラムはとても簡単でした。

 

Photo

               図2 時間を遅らせて順次倍音を出すしくみ
 
音を出してみてびっくり。耳ってすばらしく性能がいいんですね。各倍音の出始めがみんなばらばらに聞こえてしまうんです。
そこで、図3のように倍音を出すようにしました。
 

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     図3 すべての倍音を同時スタートさせながら高い倍音を遅らせる方法

 

とにかく、出始めは同時にしよう。そのうえで、高い倍音が実質的に遅れるようにする。しかも、できるだけ簡単がプログラムで作れるようにする。

これで、成功しました!倍音は分解して聞こえることはなく、楽器音らしさが表現できました。耳はあなどれません。

 

相川 清明

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