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オーロラのCGシミュレーション研究が情報処理学会論文誌で特選論文に

2014年9月 6日 (土) 投稿者: コンテンツ創作コース

2014年8月15日、情報処理学会論文誌編集委員会は、本学大学院メディアサイエンス専攻博士後期課程2年の小島啓史君が筆頭著者として発表した以下の論文を特選論文として選定しました

「分断と再統合現象を考慮したオーロラのビジュアルシミュレーション」

これは、論文誌ジャーナルVol.55, No.8掲載の26件の論文から選定された2件のうちの1件です。

この研究では、CG動画生成を目的とした簡便な方法でオーロラの動きをシミュレートしました。従来の技術では、オーロラの単純な形や動きしかシミュレートできませんでした。今回の研究は、カーテン状に波打つオーロラが分断して2つに分かれたり、逆に再び結合したりする現象を模擬することにより、これまでにないリアルなオーロラ表現を可能にしました。

Aurora_kojima1

実は、現実のオーロラの形や動きのメカニズムはいまだに解明されていません。そのため今回は、仮にこのようなメカニズムではないかという人為的な現象モデルを設定し、あとはシミュレーション技術によって物理法則に基づく形状や動きを自動生成しました。

もちろん、物理学の分野でオーロラ現象を解析している研究者の方々から見れば、このような人為的モデルはけっして正しいものではありません。しかし、結果としては、これまでになくオーロラらしい動きを自動的に生成できています。CG映像制作への応用が目的であれば、これで十分と考えていい場合もあるでしょう。

そもそも、CGで生成されるリアルな映像はすべて、多かれ少なかれ単純化された現象モデルを仮定し、それに基づいて作られています。モデルを仮定する際に重視するのは表示結果のリアリティです。その意味では、今回特選論文に選定されたこの研究は、典型的なCG技術の創成例のひとつと言えます。

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参考文献:

小島 啓史、竹内 亮太、石川 知一、三上 浩司、渡辺 大地、柿本 正憲、近藤 邦雄、「分断と再統合現象を考慮したオーロラのビジュアルシミュレーション」、情報処理学会論文誌、Vol. 55, No. 8, pp. 1886-1898, 2014年8月

関連記事:

ビジュアルシミュレーション研究の紹介 (動画あり)

(執筆:柿本 正憲)

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