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おもしろメディア学 第46話 やってはいけない話・第4話

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今日は「アタマは大切」、という話です。

「アタマ」といっても、人間の頭のことではありません。映像の制作現場で「アタマ」というと、映像の「出だし」のことです。テープの「アタマ」のどこから映像をいれるのか。これを変なところにいれたりするとタイヘンなことになるのです。

さあ、今日も私のコワーイ体験談「やってはいけない話」をご紹介いたしますよ。
みなさんは、コレを読んで、将来の仕事でこんな目に合わないようにして下さいねdown

それは数年前のある日のこと。コンサートの初日を前にしたツアー会場。まもなく、最終の通し稽古ということで、徹夜続きのスタッフは、みな隠しきれない疲れ吹き飛ばすように、最後の気合いをいれて頑張っています。否が応でも「緊張感」が高まっています。

その日の朝、私は「最後の一本」となる映像データを、照明&プロジェクターチームに渡すことになっていました。それこそ一睡もせずに作ったので、祈るような気持ちで、データの入ったUSBメモリを担当の技術者に渡しました。その直後、会場におそろしい怒号が響き渡りました。

『誰が、こんなへんてこなデータを作ったんだー!!!W(0)W』

この怒号、実は英語でしたので、みんなは良くはわからなかったのです。でも、映像チームに何か問題が起きているということは、誰の目、いや耳にも明らかでした。世界的なコンサートツアーで活躍している、著名な照明デザイナーの方が怒っています。大変です。

「ええ!(◎_◎;)」

私は、一瞬、私の映像のレンダリング・ミスかと思いました。徹夜でホテルの部屋でレンダリングしてましたからね。なにかコマが落ちているとか、編集点が間違っているとか、ありそう。どーしよう。またやってしまった。

レンダリング・ミスではありませんでした。
「アタマ」が違っていたのです。

ちょっと解説します。

私たちが苦労して制作する映像コンテンツ。最終的には、マスターテープに収めて納品となります。このとき、肝心の映像が始まる前に、何秒間かの「クロミ(音も映像も何も入っていない状態)」をいれたり、映像と音を調整するための信号もいれたりします。

普段、こういう作業は、ポストプロダクションの会社のプロがちゃんとやっておいてくれるので、問題はありません。しっかりと「10秒のクロミ」をいれて、そしてそれを、テープの箱にちゃんと書いておいてくれる。正直なところ私は、あんましこれを気にしたことが無いのです。

さて、例のコンサートの現場に戻ります。ここでは、私は「あんまし気にしたことが無い」などと言っている場合ではないのでした。照明&プロジェクターチームは、この日、一分一秒を争う状況で準備を進めていたので、私が作った映像データも、一瞬でプログラムにはめたかったのです。

なのに、私の作った映像データは「アタマ」があいまいだった。そう、適当に曲のアタマに揃えただけだったのです。
これでは、正確に照明のタイミングに合わせられない。照明デザイナーの方がかんしゃくをおこすのも当然なのです。

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[ さて、本日の教訓です ]

映像データを納品するときには、アタマをしっかり作りましょう。クロミをちゃんといれて、それが何秒なのか、そして映像はどこに合わせればいいのか(つまり編集点のスタート点)などをしっかりと考えましょう。そしてそれを、次に扱うスタッフに伝えましょうね。そして、それ以前に、前もってちゃんと打ち合わせしておきなさい、ってこと。

これも、煎じ詰めて言えば「他のスタッフの都合をよく考えよう」ということ尽きるのでしょうね。お互いに思いやりのある現場は、いろいろとうまくいくものです。

このケースの私だって、照明デザイナーの立場になって考えれば、わかることでしたよね。「アタマが大切」だったってことくらい。

本記事は:コンテンツ創作コース 佐々木が担当しました

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