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おもしろメディア学 第43話 テレビという技術 その3

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 しばらく間が空いてしまいましたが、放送用VTRの進化にまつわるストーリーです。「ビデオロケの決定打・ベータカム」の、世界制覇のところまででしたね。
■「ハイビジョンやらないか」■
 1990年、平成に入って間もなく札幌から東京に転勤した私がヒマそうに見えたのか、「ハイビジョンによる番組制作」の声がかかりました。
 新技術による番組開発に呼ばれるとは、まわりからうらやましがられることなのか。これが意外とそうでもないのです。かつてラジオ全盛期、まだ何者とも分からないテレビが登場したとき、それまで花形だった制作者はラジオを続け、ちょっと中心から外れていた人たちがテレビの草創期を担ったと、先輩に聞いたことがあります。
 さすがにハイビジョンは期待の次世代メディアなので、最初の最初はドラマの大ディレクターが手がけたりしています。その次、様々なジャンルの番組制作試行段階になると、気が利いた人はその面倒臭さを想像して、逃げてしまったのかもしれません。そう、その面倒臭さは想像できたのです。何しろ、1インチテープに戻るのですから。
■歴史は繰り返す、そして苦労も繰り返す■
 かつて録画用テープが2インチから1インチに移行したときは、「1インチ最高!」と思ったのも、一時の気の迷い。ベータカム=通称ベーカムの機動性が普通のものになったときに、わざわざ(ハイビジョン)1インチに戻るのは気の迷いでは済みません。その上、ハイビジョンの高画質(従来のテレビの5倍の情報量)に見合った、映画並の画質を生み出す制作手法開拓が期待されました。
 それで何が起こるかというと。クレーンカメラ(台)など映画用器材をレンタルしてくるのはいいのですが、それを演出しマネジメントするのは、TV番組制作体制のまま。つまり、映画のように助監督がサード(3番目)までいる、わけではないのです。
 初めて取り組んだ番組は、浮世絵師・歌川広重の代表作「東海道五十三次」の風景を現代にたどる、というテーマでした。浮世絵作品を毎日眺めてロケ場所を検討し、まずロケハンです。それも、テクニカルディレクター(TD )と一緒に、新幹線で次々と回ります。なぜTDさんと一緒かというと、もちろん番組づくりに連携して当たるから当然なのですが、加えてロケ候補地に「中継車」駐車可能スペースが存在するか、いちいち確認しないとロケ予定が立たないからです。
 思い出してください、2インチ小型VTRロケのときはワンボックスカーでした。それに比べて、スタジオに置くのと同じ1インチハイビジョンVTRを中型バスぐらいの中継車に積み込み、そこからケーブルを延ばしてカメラ取材をするのです。人数も多くなるし、行動も極端に鈍くなります。それとともに、食事の手配など支援業務も増える一方です。ロケに出発する前、弁当発注など一日100件を超える連絡事項をひとりでこなして3日間会社に泊まり込み、着替えもせずに中継車でゴー。
 またまた話が長くなったので、続きは次回。ハイビジョン中継車は、おごそかに東海道を西へと向かうのでした。
(メディア学部 宇佐美亘)

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