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CGアニメーションの演習(メディア基礎演習)

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こんにちは。

メディア学部 助教の石川です。
メディア学部の1年生が行う「メディア基礎演習Ⅰ」の授業の紹介をします。

日本を代表するメディアとしてアニメがあるわけですが、
この授業の中ではアニメの製作工程を演習を通して学びます。
大まかな製作工程は
構想・準備」→「制作作業」→「編集・仕上げ
になります。

構想・準備段階では「絵コンテ」を作成してセリフや構図、カメラワークを確認します。
実際は絵コンテを書く人と、本当のアニメを制作する人は違うケースが多いので、
他の人が見てわかるという点を重要視して作成します。
授業では、演習スタッフが学生が作成した絵コンテをチェックしていきます。

Dsc_0348_2

絵コンテ用紙(ここに制作したい映像のイメージを描いていきます)

絵コンテができたら、次はいよいよ制作です。
制作作業では2DCGアニメーションを制作するソフトとしてCrazyTalk Animator 2を使用します。

この記事では、CGアニメーションの仕組みの中で、
高校生の方にも理解してもらえそうな内容について説明したいと思います。
CGアニメーションは、手書きのアニメーションと違って、
一枚一枚製作しなくても良いという利点があります。
それはソフトが自動計算してくれる部分があるからで、
これによってアニメの制作が格段に楽になります。
この自動計算の中に「キーフレーム補間」という技術があり、
高校数学と関連もあるので、ここで紹介したいと思います。

CGアニメーションの中で、カメラを動かす例を考えてみます。
CGソフトの中では、この時間(コマ・フレーム)に、
これを写してほしいという指定をいくつか行うだけで後は自動で計算してくれます。
ユーザーが指定したフレームのことを「キーフレーム」と呼びます。

例えば、下の図のように1フレーム目にはシーンの全体を
180フレーム目(約3秒後)には電話にズーム、
360フレーム目(約6秒後)にはまたシーン全体を写すようにと指定したとします。

Keyframe

キーフレームの指定
(ユーザーはいくつかのフレームを指定するだけで、あとは自動計算です)

ユーザーが指定するのは数枚ですが、この間に該当するフレームを
自動計算してアニメーションを作成してくれる仕組みが「キーフレーム補間」です。
実際にこの指定だけで電話に徐々にズームインしていき、
またズームアウトするようなアニメーションができます。

この自動計算の方法は高校数学で行う内分点の計算で説明できます。
簡単のためにアニメーション開始から1秒目でズーム倍率が100%、
3秒後のズーム倍率が300%だったとします。
この間を埋める一番シンプルな方法は以下のように線で結ぶ方法です。

Keyframe_interpolation

キーフレーム補間の概念図
(1秒後からt 秒後の値を求める)

1秒後からt 秒後の値を求めるためには、時間もズーム倍率もt : 2-t に内分します。
(数学Ⅱの「図形と方程式」の内容です。数学Bのベクトルでも類似内容を学習します。)
高校数学では以下のように説明されている公式があります。

Equation1

これによると、1~3秒間のズーム倍率は以下のような式で計算することができます。

Equation

これによって1~3秒の中の時間t におけるズーム倍率を求めることができます。
高校数学が活きていることがわかってもらえると幸いです。
このような直線的な補間方法を線形補間と呼びます。

しかし、この線形補間ではカメラワークが単調になってしまいます。
実際のアニメーションでは緩急をつけたり、止めを有効に使ったりする場合があるため、
他の補間方法も使用されます。その補間方法については大学で勉強しましょう。

実際の制作作業では、ソフトが自動で計算してくれるため、
このような数式を意識する必要はありません。
しかしながら、原理を理解しておくことは重要であり、
それが大学での学びであることを理解しておくと講義内容が楽しくなります。

さらに大学で学習する内容は、高校内容が基礎になっていることも重要です。
高校までの内容がどこで役に立つのかを考えながら講義を受けると、
新しい発見があって楽しいかもしれません。

Dsc_0349

演習の様子

ソフトの使い方を学んだら、絵コンテに沿って制作していきます。
講義内容とは別に、演習で学生がどのような作品を作ってくれるかも楽しみですね。

この記事が高校数学と大学での学習をつなぐ一助になると幸いです。

文責:石川知一

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