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ノーベル賞に負けず劣らず輝くフィールズ賞

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201410月上旬、今年のノーベル物理学賞が日本人3名に授与されることが決まりました。これで今回の3名を含めて、日本の歴代ノーベル賞受賞者は、医学生理学賞(2名)・物理学賞(10名)・化学賞(7名)・文学賞(2名)・平和賞(1名)の各賞の22名となりました。残念ながら経済学賞のみは未だ日本人の受賞者はいませんが、それでも日本の基礎科学技術や文化・社会のクオリティーがいかに高いものかがわかりますね。

さて、かく言う私は数学者の端くれです。子どもの頃から算数・数学に夢中になっていましたが、ノーベル賞になぜ数学賞が存在しないのかが疑問でした。その理由については諸説あるようですが、はっきりとしたことは未だによくわかっていません。ただ、そのようなもやもやの中で、中学2年生のときに「数学のノーベル賞」と称される“フィールズ賞”(下図はメダル)の存在を知り、その理念や意義に感銘を受けたことを今でもよく覚えています。

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〔図〕 Fields Medal〔出典:http://www.mathunion.org/general/prizes/fields/details/

フィールズ賞は、カナダの数学者である故フィールズ氏の名に因んだ賞です。フィールズが構想した数学賞は、彼の没後まもない1936年に創設され、フィールズ賞と呼ばれるようになりました。この賞はノーベル賞とはかなり趣が異なります。まず、一番特徴的なのは“若手数学者”のための賞だということです。受賞対象者は40歳以下に限られます。ノーベル賞における科学3分野(医学生理学・物理学・化学)は、基本的に、選考時の社会に画期的な変革をもたらした大元の研究の功績を称えるというスタンスをとります。それゆえ、数十年も前の研究が思いがけず受賞対象になったりします。ノーベル賞受賞者に比較的年配の方が多いのは、そうした理由にあります。また、フィールズ賞の別の特徴として、4年に一回開催されるICM(国際数学者会議)の場で発表されるということが挙げられます。毎年発表されるノーベル賞とはこの点でも大きな違いがあり、先の40歳以下という制約も相まって、フィールズ賞の希少価値は非常に高いものであることが窺えます。ちなみに、このICMの開催は、偶然にもサッカーW杯の開催と同期をとっています。

このフィールズ賞を受賞した日本人は過去に3人います。1954年の小平邦彦氏、1970年の広中平祐氏、1990年の森重文氏です。人数からすると一見少ないようですが、上述したような受賞ハードルの高さから、それでも世界第5位の受賞者数です。1620年おきの受賞ですので、そろそろ4人目の日本人受賞者を期待したいものです。

さて最後に、フィールズ賞にまつわる近年の2つの話題を紹介します。まずは、かなりホットな今年の話題ですが、8月に韓国・ソウルで開催されたICMでフィールズ賞受賞者4人が発表され、その中にイラン出身の数学者ミルザハニ氏が含まれました。イラン人初の受賞ということもありますが、実はフィールズ賞始まって以来初の女性の受賞ということで、かなり各メディアを賑わせました(CNN関連記事:http://www.cnn.co.jp/career/35052368.html)。もう一つは、2006年のスペイン・マドリードでのICMにおいて受賞が決まったペレルマンというロシアの数学者の話題です。少し堅い話になりますが、彼は難しいとされているミレニアム問題の一つである「ポアンカレ予想」を解いたことで一躍有名になり、その功績からフィールズ賞を受賞することになったのです。ただ、彼は2度メディアを賑わせました。一回目は、問題を解いたという業績が知れ渡ったときです。そして二回目は、フィールズ賞を辞退したときです。これほど名誉ある賞を辞退するというのは、なかなかなものですね。もったいないと感じてしまう私はまともなのか卑しいのか…。皆さんは、ペレルマンの行動をどう思われますか?

以上

(文責: メディア学部 松永)

 

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