おもしろメディア学 第62話 その商品に不満はありませんか
2014年12月19日 (金) 投稿者: メディア社会コース
実際のビジネスはどんなところから始まるのでしょうか。
壮大な夢や高尚な目標を設定して、それを現実にしていこうということもあるでしょう。しかし、意外かもしれませんが、日常的な不便や不満を解消しようとするところからというのが多いものです。
例えば、大きな駅で乗り換えなどをするとき構内がわからなくて不便だといった経験はだれもがしていると思います。あるひともそういう経験をして、友だちと駅で迷った話をしていました。普通ならそこで終わらせてしまうのでしょうが、利用者の立場から案内表示を作ったらどうだろうということになり、仲間と一緒にその迷った駅の構内を調べて、案内表示を作りました。デザインにも工夫を凝らしました。それを駅に持ち込んで掲示させてほしいと言ったところ、歓迎され、作った案内表示が掲示されることになりました。駅では案内の質問を頻繁に受けて本来の業務のための時間を取られてしまっていたのです。その案内表示が便利だとわかった鉄道会社では、他の駅のものも作ってもらおうと考え、そのひとたちに依頼しました。こうして、利用者の視点からの案内表示をつくる仕事を始めることになったということです。実はこうした会社はひとつではありません。現在、多くの駅や街中でも見やすく便利な案内表示が使われるようになっていますが、それは、この方向に沿ったものです。案内のためのアプリもこの延長線上にあります。
最近では商品やサービスの利用者に不満な点を教えてもらうことがビジネスの改善だけでなく新たな展開になることがわかり、大手の企業では顧客から積極的に不満を収集しています。不満を教えてもらって収集すること自体をビジネスの目的とする会社も出てきました。
自分が不満をもつようなことには、きっと他の人も同じような不満をもっている可能性が高いはずです。それを解消するための方法のひとつとして、ビジネスにするということを考えてもいいと思います。もちろん、高校生であれば、すぐにできないかもしれません。記録を残しておくといいでしょう。後になってからでも、その気になれば、きっと不便を解消ことができるようになるはずです。それが大きなビジネスに育っていくかもしれません。
(メディア学部 小林克正)
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