« メディア基礎演習Ⅱ ソーシャルデザイン | トップページ | 国際的なボランティア活動:SIGGRAPHAsiaにおける大学院卒業生の活躍 »

おもしろメディア学 第56話 おもしろメディア学 やってはいけない話・第5話

|

Tapemeasure_3

今日の「やってはいけない」は、寸法の話です。
寸法については慎重にやらないと、痛い目にあいますよdown

TVの美術デザインの仕事で、どんな寸法を使われてるかご存知ですか?なんとそれは「尺貫法」なのです。いまでは日常生活では、使われていない単位ですね。でもこの「尺寸」の寸法、実際に使ってみるととても便利なのです。もともと人間の体の大きさを寸法に置き換えたものなので、とてもイメージしやすいのです。例えば、1尺はだいたい大人の足くらい。6尺は畳一枚の長さです。

そしてまた、意外なことに、この「尺寸」による寸法は、イギリスで使われていた寸法にちかいのです。日本の「尺」と、イギリスで使われている「フィート」がどれだけ近いかというと、どちらも見事に「ほぼ30cm」なのです。大雑把に寸法を考えるときには、そのまま使えそうです。

はじめての国際共同制作ドラマで仕事をした時、わたしは実際にオーストラリアの大工さんたちとの打ち合わせで、この「尺」と「フィート」の置き換えをやってみました。こんな風に。

「この廊下の幅は、6フィートでね 

「オーケー、カズ、わかった」

「このテーブルの幅は4フィートね」

「了解了解、カズ、任せなさい」

通じるではありませんか。

早速私は、単位にフィートを使って図面を書き始めました。図面に描かれたスタジオセットが次々と出来上がっていく。大工さんたちもせっせと働いてくれていて、問題なさそうだ。

ところがある日のこと、スタジオのセット制作場で、大工さんたちが難しい顔をして、ぶつぶつ揉めている。どうしたのかな?と思って近づいてみても、なんか、僕とは目を合わせないようにしている感じ。あれ、何かまずいことがあったのかな~。心配だ。

その翌日。

美術スタッフ室の僕のデスクの上に、オーストラリア製の「巻き尺」が置いてありました。そしてその下には、大きくペンで書かれたメモがあって「 CM ONLY ! (センチメートルだけ!)」と書かれてました。一体どういうこと?

その巻き尺を置いてくれたのは大工の棟梁、ロブでした。あとで彼に聞いてその理由がわかった。

日本では、1尺の半分は「5寸」、四分の一は「25分」となります。よく「しゃくにすんごぶ」みたいな言い方をします。1尺と、2寸と、5分なのですが、ようするに、1.25尺なのです。10進法なのでこれで合うのです。

ところが、ポンド・ヤード法には、いたるところに、12進法が登場します。1フィートは、10インチではなくて、12インチなのです。

僕はこれを無視して、テーブル図面に、高さ「2.25ft(フィート)」と書き込んでいた。彼らにとっては、12進法のインチを、0.25みたいに10進法で書かれては、全くわけがわからないことになる。まったく変換不能なのである。「0.25=四分の一」なんだから、3インチのことでしょう、などと言っても通じません。

こういうわけで、プロダクション開始後、たった3週間ほどで、僕の「尺=フィート」方式はクローズとなりました。

私が日本から持ち込んだ、「尺貫法」の巻き尺は使えなくなったのです。

- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

[ 今日の教訓 ]

うっかり、慣れない方法に手を出すのは、やめましょう。特にスタッフ間の大事なコミュニケーションには、みんなが慣れた方法を使わなくてはなりません。

特に寸法には気をつけましょう。

- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

☆この記事は佐々木和郎が担当しました

おもしろメディア学」カテゴリの記事

広報」カテゴリの記事

社会」カテゴリの記事

雑感」カテゴリの記事

高校生向け」カテゴリの記事

« メディア基礎演習Ⅱ ソーシャルデザイン | トップページ | 国際的なボランティア活動:SIGGRAPHAsiaにおける大学院卒業生の活躍 »