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おもしろメディア学 第65話 音楽用語の話

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 みなさん、こんにちは。今日は、音楽用語の話をしましょう。

 早速ですが、下の楽譜を見てください。


 【1】

    8va_01_8

 音符の上に、「8va」という記号が書かれていますね。この記号は何と読むでしょうか? 数字の「8」があるので、英語の「エイト」が付いた名前を連想するかもしれませんが、これは正式にはottavaと書いて「オッターヴァ」と読みます。このように音符の上にオッターヴァ記号が書かれている場合は「オッターヴァ・アルタ」と呼ばれ、楽譜に書かれている音(=記譜音)の1オクターヴ上の高さで演奏する指示です。つまり、実際に演奏される音の高さ(=実音)は、次のような楽譜で示されます。

 

 【2】

    8va_02_2

 音符に横棒がたくさん付いて、何の音か判別するのが大変ですね。この横棒のことを「加線」と言いますが、オッターヴァ記号を使うことによって音の高さの判別を容易にするとともに、五線と五線の間のスペースを確保して、他のパートの音との混同を避ける意図もあります。

 楽譜を読むにも書くにもとても便利な記号ですが、いつでも自由に使って良いわけではありません。例えば、高音域での演奏が多いフルートの場合、どんなに高い音であっても実際の音高を楽譜で示すことが慣習となっています。ですから、もし【2】の楽譜で示されるとても高い音をフルート奏者に演奏してもらいたければ、実音としてそのまま書かれた【2】の楽譜を用意する必要があります。ごくまれに「8va」の記号が付けられた【1】の楽譜も目にすることがありますが、それは例外的なものです。このように、音楽用語はその意味を知るだけでなく、慣習としてどのように用いられるか知っておくことも大切です。

 ところでこの「オッターヴァ」。どうして「オッターヴァ」という名前なのでしょう? ちなみに綴りはottavaです

 先ほど、「オッターヴァ・アルタ」は1オクターヴ上の音を演奏する指示であることを説明しました。「オッターヴァ」は、この「オクターヴ」に由来するものです。そして「オクターヴ」はoctaveと書かれるのですが、「oct」の部分が数字の「8」を表すラテン語由来の接頭語なのです。ですから「オクターヴ上」は、ある音(それ自身を含む)から音階を順に上がっていって8番目の音を示すことになります。

 ほかにoctが付く言葉を考えてみると、octopusOctoberがあります。octopusは「蛸」、蛸は8本の足を持っていますからね。Octoberは「10月」ですが、紀元前に使われていたローマ暦では現在の3月が年の始まりで、それから数えて8番目の月としてOctoberという名前がつけられたそうです。

 あと、皆さんがよく知っている「トライアングル」という金属製の打楽器。この楽器は1本の金属の棒を曲げて三角形の形に作られていますが、まさに「三角形」を表すtriangleが楽器名となっています。これも「3」を表すtriを接頭語として、「角」の意味のangleが組み合わせられた言葉ですね。

 今日、ご紹介したのは数ある音楽用語のごく一部で、そのほかにもいろいろと興味深い語源をもつ用語があります。単に用語の意味だけでなく、その成り立ちまで知ることで理解も深まることと思います。私が担当している「音楽入門」という授業では、このような音楽用語を巡る話もしています。

 それでは、またお会いしましょう。

 

(執筆・伊藤謙一郎)

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