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数学はなくてもかまわない?

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このブログの中の他の場所ですが、数学を勉強したほうがいいということを述べてきました。その理由の一端はメディア学部に来ていただければ分かることも述べました。

けれど数学が嫌いだと思っている人は、やはり「数学なんてなければいいのに」と思うかもしれません。

数学が現実を完全には反映しないということは、直観的にははっきりしています。感覚によって得られる体験の内面的な質をクオリアと呼びますが、それを数や数式で完全に記述することはできないだろうからです。

これは、どんな時代になっても人間は数学がなくても生きてはいけるだろうということを意味しています。また、芸術では、究極的には、(道具として以外には)数学は必要ないことも意味しているのではないかと思います。

そこで、数学が学問でも必要ないことを論理的に証明できれば、数学を使わなくても、したがって勉強しなくても済むかもしれません。

数学が必要な分野というと、まず自然科学が思い浮かびます。自然科学、とりわけ物理学は現在では数学と区別がつかないくらい関係が深いです。

やはり数学が嫌いだったのでしょうか、数学を使わない物理学(正確には数と関数を使わないニュートン力学)の公理系を作った論理学者がいます。公理系というのは議論の大前提となる仮定の全体ですから、これができるということは数学を使わないで物理学ができることを意味しています。

ところが、よく調べてみると、この公理系には数量を操作する概念が別に必要らしいことがわかってきました。つまり、数学を使わない物理学は、少なくともこの方法では無理なのです。この公理系は、とても巧妙に考えられているので、おそらくこれ以外の方法でも無理でしょう。

物理学に数学が必要なのは仕方がないようなので、経済学はどうでしょう。経済学で数学が必要なのは、貨幣を使うからだと思いますか。貨幣を利用しないで物々交換をすれば数学はいらなくなるでしょうか。

現在は経済学でも数学と区別がつかない基礎的な分野があります。その中で、物々交換をする場合には、数のようなものを必要とすることが示されています。

やはり、数学は必要のようです。もし、数学なしで済むのだということを証明できたら、ぜひ教えてください。おそらく、だいぶ時間が掛かると思いますし、そう、たぶん、数学を勉強してしまうほうが早いでしょう。

(メディア学部 小林克正)

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