ソーシャルコンピューティングとは
2015年1月21日 (水) 投稿者: メディア技術コース
皆さん、こんにちは。メディア学部の寺澤です。
今日は私が担当している科目の一つ、「ソーシャルコンピューティング論」について書いてみようと思います。「ソーシャル(social)」は「社会的な」という意味で、ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)でおなじみのことと思います。TwitterやFacebookなどですね。ここでの「社会」とは、人と人とが何らかのつながりを持った状態や場と言うことができると思います。
では、ソーシャル「コンピューティング」とは何でしょうか。コンピューティングは一般的には「計算」、あるいはコンピューターを用いた「処理」のことです。その主役はコンピューターでした。しかし、インターネットや情報端末(スマートフォンなど)が発達した現代社会では、一握りの権威者だけではなく一般の人が情報を発信し、それによって売れ筋商品が変わったりと、個人や企業、組織、マスメディアなどの活動に影響を与えるということが生じています。つまり、ネットやコンピューターが提供した情報に対し、人々の反応がフィードバックとして作用するようになってきたのです。このように、従来のコンピューティングに人々の考え(群衆の英知、より広い概念では「集合知」と言います)がプラスされた形態を「ソーシャルコンピューティング」ととらえています。(集合知の概念はWeb 2.0とも関係しています。)
たとえば、インターネットが登場して、生活の色々な場面で利用されるようになって以降も、ある時期までは、人々は何か商品を買おうとしたとき、インターネットの検索サイトでそれを検索し、売っているお店や値段を調べるというだけにとどまっていました。しかし、現在では、多くの人が、その商品を既に買った人が投稿している「レビュー」や評価(☆の数)をチェックしたうえで買うかどうか判断しています。自分でもレビューを投稿する人もたくさんいます。また、その商品を見つけた人が最終的には同種のどんな商品を調べ、買ったのか、あるいは、その商品と一緒に何を買っている人が多いのかなどを示してくれるショッピングサイトも増えています。みんなの意見は割と当たっていることが多いのです。
こう考えてみると、TwitterやFacebookを使っている皆さんも、ソーシャルコンピューティングの一翼を担っていることになります。この科目では、ソーシャルコンピューティングの土台となっているWWW(World Wide Web)の仕組みから始めて、その上の様々なサービスをまず学びます。下に示す画像は、その一環として、TwitterとFacebook、LINEを比較するために、3人の受講生に調査と授業中の発表をしてもらった時のものです。
授業では、その次に集合知について学び、様々な集合知の例を取り上げ、理解を深めます。先ほどのショッピングサイトの話は「リコメンデーション(recommendation、おすすめ)」というトピックになります。今話題の「ビッグデータ」(の処理)も、人々の活動や発言を細かく記録したデータの集合から、価値のある、意味のあることを見つけ出して活用すること、ととらえれば、ソーシャルコンピューティングの一部とみなすことができます。
さらに興味のある方は、シラバス をご覧ください。
(寺澤卓也)
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