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色って本当にその色ですか?-色の恒常性-

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昔のSF映画で「巨大アメーバの惑星('59)」という映画があります。
 
SF映画華やかしき時代の映画なので、チープな特撮でもそれなりに斬新な工夫をしていて楽しめるのですが、この作品の困った部分は別の惑星(火星)に降り立ったシーンで、雰囲気を出すために画面が、もう目がチカチカなるくらいに真っ赤っかになるところ。「こんな状態で周りの景色なんかわかるか!」と、思ったものですが。(まあ、原題は「The Angry Red Planet」なので売り方を間違ってはいませんが…)

ということで、「真っ赤な画面で景色なんかわかるの?」という部分が今回の主題です。
 
人の視覚機構は周囲の状況に順応するように出来ています。例えば、極端な青い照明光の下でも、もしくは赤い照明光の下でも、私達は「普通の照明があたっているときの元の色」を頭の中で復元し、見分けることが出来るのです。これを『色の恒常性』といいます。
 
この『色の恒常性』は、物体の「そのままの色」ではなく、「そこにあると思われる色」を感じることになるので、その意味では、そこに『錯覚』が生じていると考えることもできます。人間の目は注視している物体の色を「そのままの色」ではなく、周囲の環境に応じて、その感覚を自動的に変更しているわけです。
 
例えば下図を見てください。

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図1 色の恒常性

図1は一番左の絵が元図で、それに青色のフィルターをかけた図が真ん中です。青いフィルターをかけた後でも赤い部分は「赤」、黄色の部分は「黄色」に見えるのが分かるでしょうか。
 
さて、一番右の図は真ん中の図の各パーツの、色が塗られている部分(目と左耳と文字)だけをそのままにして、青いフィルタを取り除いた図です。つまり、真ん中の図の「CATという文字」「目と左耳部分」の色は、右側の図の同じ個所の色と全く同じです。「青いフィルタ」という要素が無くなっただけで、かなり色が変化してみえるのが分かるでしょうか。
もう少し言うと、真ん中の図で黄色く見えている目やTという文字部分の色は、実は「灰色」で、色彩を持っていません。私達が「色」を感じていてもそこに色彩があるとは限らないという良い例です。(そんなバカな、と思う人は色彩の部分以外のところを隠して、その部分だけもう一度見てみてください。)
 
ということで、あなたの見ている色、本当にその色ですか?

(以上文責 永田明徳(「視聴覚情報処理の基礎」担当))

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