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おもしろメディア学 第80話 スイッチを切るとき入れるとき  やってはいけない話・第7話

2015年5月11日 (月) 投稿者: メディアコンテンツコース

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今年のゴールデン・ウィークも終盤。
いままで空いていた道路や電車も、だんだん通常モードに戻りつつあります。
「さあ、これから頑張りましょう」と、心のスイッチをオンにしている方も多いかと思います。

今回の「やってはいけない話(第七話)」はスイッチに関わる話です。タイトルにあるように「スイッチを切るとき」や「入れるとき」には十分に気をつけないと、大変なことになりますよ。今日も、私の放送局時代の経験から、ドキっとするような失敗談をご紹介しましょう。


このイラストをご覧ください。オーストラリアの放送局で私がお世話になっていた、壁の電源コンセントはこんな感じでした。日本とは方が違う(☆1)のですが、プラグのアダプターを使って、日本製のパソコンをつないでいました。日本とちがうのは、電圧が高いこと、そしてこのイラストに見えるように、なんと「スイッチがついている」ということなのです。

なぜ、壁のコンセントに「スイッチ」がついているのか、その正式な理由は分からないのですが、私はこの「スイッチ」をいつも使っていました。電圧が高いせいか、コンセントを抜く時に、火花が出る事があって怖いので、抜く前には必ずこの「スイッチ」を切ることが習慣になっていたのです。

ある日のこと。今日はちょっと早めに仕事を終わらせて、続きはうちに帰ってから...
という感じでこの「スイッチ」を切った、その時です。

絞り出すような声で「オー・マイ・ガッー!!」という叫びが聞こえました。ふと見ると、その日、私の席の隣で作業していた、CGクリエイターが頭を抱えています。

「どうしたの?」
「どうしたも何もないじゃないか!!」
「えっ?」
「お前がいま切ったコンセント、僕の方にも繋がってんだぞー」
「あっ」

気づいた時には既に遅し。普段はそのオフィスは私がほとんどひとりで使っていたので、その日は彼と電源を共有していたことを忘れていたのです。やってしまいました。私は、彼の午後の作業、3時間分くらいを吹き飛ばしてしまったのです。もう、その後はしばらくの間、彼には口も聞いてもらえませんでした。
こういうこと、テレビのスタジオで起きたらもっと大変なことになります。放送局のスタジオではどこにどのラインが繋がっているかわからないということ。まるで人体の中に張り巡らせられた、血管や神経網のように、さまざまなところへ、ケーブルやら電源が張り巡らされているのです。これを運用している放送技術の担当者にとっては大問題です。ほんの一箇所の結線に障害があるだけで、番組収録が止まってしまうこともあるのです。
スイッチひとつ、ケーブルの断線ひとつが命取りに...

ある公開録画番組で、マイクの結線が切れてしまい、音声が出なくなって、収録自体が途中で止まってしまったことがあります。音のトラブルというのは致命的なんですね。どういうわけか、生放送ではこういうことは少ないですね。これは「生」ということで、スタッフがものすごい緊張感でやっているのと、また、いざとなったらなんとかせざるをえない「火事場の馬鹿力的な対応で」乗り越えているからかもしれません。
超人気番組「八時だよ全員集合」の公開生放送でも、大変な放送事故が起きた事があります。

1984年6月16日の公開番組で、冒頭から会場の照明が消えるというトラブルになりました。幸いカメラも音声も生きていたので(☆2)、いかりや長介さんの、その場の機転でもって、ドリフターズ全員が首から懐中電灯を下げて自分の顔だけを照らして切り抜けたということです。この放送回は、内容的にはめちゃくちゃになってしまったそうですが、この事件のおかげで、テレビ放送史に残る放送になってしまったようです。

その原因は、観覧希望者募集の抽選に当たらなかったお客さんが、怒って会場のブレーカーを落としたためだというのです。スイッチひとつ、いやブレーカーひとつで大騒ぎになった例です。テレビの放送では、ほんとにどこか一カ所の問題が、番組全体の大問題になる可能性があるということですね。
こんな経験があるからかもしれません。私が電源プラグにうるさいのは。電源プラグが抜けそうな状態でカメラ撮影している学生さんや、編集途中のiMacの電源が抜けそうになっているのを見ると、鬼の形相になって雷を落とす、私の気持ち。わかっていただけたでしょうか?


 
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☆1:オーストラリアでは、O型とかO2型という形のプラグだったと思います。

☆2:いまでもそうですが、テレビ中継などで使うカメラや音声のための電源は、会場の電源とは別に、特別車を持ち込んで供給することが多いのです。そのため、この時もカメラと音声は無事だったのです。
 
 
 

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