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数学の考え方をやり直す

2015年5月 1日 (金) 投稿者: メディア社会コース

四月になって、新入生の授業が始まりました。

以前にも書いたように、新入生からよく聞くことがあるのは、「中学一年までは数学が嫌いではありませんでした」あるいは「小学生のときは算数が好きでした」という言葉です。今年も耳にしました。ある程度の時期までは数学や算数が好きだったのに、なぜ、高校に入る頃までに嫌いになってしまうのでしょうか。

ひとつには、計算などの約束を覚えなかったということがあると思います。その対処は、結局、覚え直すということが一番の近道でしょう。これも以前に詳しく書きました。

しかし、ちゃんと覚えているのにある時期からできなくなったという声があります。そういう場合はどうすればいいのでしょうか。

数学では、あるいは算数でも、計算にばかり目が行きますが、実は、ものの考え方を学んでいるので、そのことを意識するといいのです。

わかりやすいと思われる例は、方程式という考え方です。方程式のどこが考え方なのかと思うかもしれませんが、方程式の陰には、わからないものをとりあえずわかったことにしてみるという方法が隠れています。わからない未知数をすでにわかっているかのように文字や記号にして考えていくのです。

これは大げさに言えば、考え方の大転換です。まっすぐに考えていくだけでは求まらなかったことが、この方法によって求まってしまうのですから。アインシュタインも、子供の頃、この考え方を叔父さんから教わったようです。後の業績も、方程式なしでは語れませんから、これが基礎になったのかもしれません。

方程式に限らず、数学や算数には、こうした、通常は使わないような考え方のアイデアにあふれています。さまざまな問題を解くために、多くの先人たちが知恵を絞った、その足跡が、おそらく、他のどの学問領域よりもはっきりと残されています。

そういうわけで、計算のしかたは覚えたのに、なぜかある時期から数学が苦手になった。それでも数学をやり直そうと思っている人におすすめしたいのは、どんな考え方をもとにして、その項目が成り立っているのかを考えながら、ごく初歩からの算数や数学の解き方を高校生以上の大人としての目で見てみることです。

嫌がらずに、算数からでも始めてみると、子供の頃には気が付かなかった考え方に出会い、数学が好きになるかもしれません。大学の授業でも新入生向けに、このようなことを行っています。

(メディア学部 小林克正)

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