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おもしろメディア学 第85話 技術としてのテレビ<番外編・NHK技研公開2015>

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 だいぶ間が空いてしまいました。放送用VTRの進化にまつわるストーリーの途中ですが、先週5月28日〜31日に開催された「NHK放送技術研究所」の公開展示の見学記を報告しましょう。(NHK技研公開は、放送技術を中心にNHKが取り組んでいる先端技術に関する展示会です。毎年、世田谷区砧の放送技術研究所で開催され、入場無料です)
■進化する8K放送実験■
 量販店店頭では「4Kテレビ」が最も良い場所を占めていますが(売れ筋なのでしょうが)、NHKが重点事項としてこのイベントでも強調しているのは、「8Kスーパーハイビジョン」です。
 「8K」というのは、おおよそ横8000画素X縦4000画素の超高精細画面によるテレビ放送です。放送のための機材も、急速に進歩しています。なんと最新機材としては、片手でも持てそうなキューブ状の「8Kカメラ」がありました。ハイビジョン初期の巨大なカメラと比べると、その進化スピードは比較になりません。
 そもそも、「8K」といっても電波で放送しなければ意味がありません。ハイビジョン放送が始まった時と同じように、大容量の情報を送ることができる「衛星放送」からスタートするための受信実験がある一方、地上波放送(スカイツリーなどの電波塔から放送を送る)も必要になります。地上の電波で伝送する実験が始まっており、元テレビ屋としてはその進捗の早さに驚きます。
■8Kを使ったサービスの開発■
 少々テレビ業界的話題に偏って、すみません。今度は具体例をご紹介しましょう。
 「8K」は、きめ細かく美しい映像の規格ということだけにとどまらず、その画面上で様々なサービスを検討しています。ひとつは、現在の地上波テレビ(NHK)ですでに採用されている「ハイブリッドキャスト」という情報サービスの発展形です。「ハイブリッドキャスト」は、デジタル放送により実現したテレビ電波による情報サービス=「データ放送」の最新版です。データ放送は、リモコンの「dボタン」を押すと天気・ニュース・番組情報などが見られるサービスで、(東京工科大学生アンケートによると)天気はよく利用されています。
 さて、会場では「紅白歌合戦」を具体例にした展示がありました。特徴は、タブレットをリモコン代わりに使っている点です。それだけでなく、タブレット上には「マルチカメラ」という機能があります。例えば、同時にAKB48を撮影しているカメラ4台の映像がタブレット上に表示されます。テレビの画面はそのうちのひとつを選択してNHKから送られるわけですが、「私」はAKB48のうちひとりだけずっと見ていたいと思って、タブレットの画面のうちひとつを選択すれば、今見ているテレビの大画面にそのカメラだけが映る、という仕組みです。
 ちょっと入り組んだ話ですが、画面を選択するというTV局だけができる機能を視聴者側で実現できるわけです(視聴者が選択した映像はインターネット経由で送られる)。かくして、「放送と通信の融合」というなかなか実態を伴わなかったキャッチフレーズが、TV局の領域に視聴者が参加する形で実現する可能性が生まれたのです。
 テレビ業界に特化した話題になりましたが、展示の紹介はあくまで個人的な感想の範囲で記述していますので、ご容赦ください。それにしても、明日の放送はこんなに急速に進歩する技術に支えられているということを発見するには、良い機会です。
(メディア学部 宇佐美亘)

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