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アニメ制作に襲来するディジタル化の波(1)「アニメ業界のコンソーシアム結成」

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 メディア学部の三上です.

 以前にもアニメーションのCG制作やディジタル化の話をBlogで書きました.今回はその中でも,現在変革しつつある「作画」のディジタル化についてのお話です.

 作画のディジタル化は昨年ぐらいから急速に業界に普及している制作手法です.これまで紙に作画してきたアニメーションを,液晶タブレットや従来のタブレット(業界では「板タブ」と呼びます)を用いて,コンピュータ上で作画します.

 これは「仕上げ・撮影」のディジタル化と「背景美術」のディジタル化に次ぐ第3のディジタル化の波と言えます.

 (いわゆる3DCGの利用は,原則として表現の選択肢なのでここではひとつの波とはしません・・・)

Tablet

ディジタル作画システムの例

 作画のディジタル化に際して,現在いくつかの会社が積極的に導入に取り組んでいます.これらの会社では,すでにテレビシリーズなどで利用されていたり,放送が計画されています.一方で,多くの会社は試験的に導入し導入している段階です.

 もともと,液晶タブレットや板タブを利用したディジタル作画システムは2000年代の中ごろから発売されていました.東映アニメーションの子会社である,Toei Animation Philippines
では,遠隔地での制作のメリットを生かすことから,当初からディジタルでの作画を導入していました.

 ディジタル作画のシステムが登場してから10年が立ち,そのシステムが一気に普及を迎える状況になってきました.

 今後,作画のディジタル化が急速に進むことを想定し,アニメ業界でもコンソーシアムが結成され,人材育成や技術の共有化などを計ろうという動きがあります.

 すでに,90年代後半から始まった,「仕上げ・撮影」や「背景美術」のディジタル化,「3DCG利用」についても,同様の動きがあり,このBlogでも紹介した「デジタルアニメマニュアル」の制作を通じて産業界の発展に寄与してきました.

 その経緯と成果もあって,作画のディジタル化に際しても産業界から要請があり,コンソーシアムに参画することになりました

Dam

デジタルアニメマニュアル

 6月27日にそのコンソーシアムのキックオフセミナーが開催され,僭越ながら基調講演をさせていただきました.

Digitalseminar

セミナーの様子

 こうした制作プロセスの変更には,技術革新だけでなく制作工程やその管理手法などを踏まえて判断していく必要があります.単に新しい技術を利用すればよいのではなく,それらの技術を多くのスタッフが協力して制作していく工程の中に取り込み,制作全体としての品質の向上や効率化を図る必要があります.

 そのために私が恩師であり,日本のCGの父とも呼ばれる金子満先生(元メディア学部教授)のお話で「未来は過去と現在のカーブの先に」というお言葉が実に印象に残っております.

 過去から現在に至る流れは,必ずしも順当な流れではなくいくつかのターニングポイントがあって,現在に至っています.それらの出来事をきちんと理解し,整理することで将来の予測の役に立つという考え方です.この第3のディジタル化の波も,これまでの第1の波,第2の波を知ることでその未来を予測できるのではないかと思います.

Ppf

未来は過去と現在のカーブの先に

 これから,第1の波,第2の波のお話や,3DCG利用の話,今後進んでいく第3の波の話を報告していこうと思います.

メディア学部 三上

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