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メディア学部ではちゃんと「著作権」を教えています!

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「情報メディア法」の授業紹介
東京五輪エンブレムの著作権問題を契機として

 こんにちは、教養学環の村上です。私は、以前はメディア学部の教員をしており、現在でも、「情報メディア法」というメディア学部の授業を担当しています。今日は、この授業の内容を少し紹介したいと思います。
 「情報メディア法」では、現代の情報メディア社会において生じている様々な法的課題を扱っています。ネット上の表現の自由の問題、プライバシー・個人情報保護の問題、コンピュータウィルス、不正アクセスといったサイバー犯罪の問題、メディアコンテンツに関する著作権の問題などです。

 著作権といえば、最近、東京五輪のエンブレムがベルギーにあるリエージュ劇場のロゴと似ているということで、盗作、パクリではないかということが問題となっています。ただ、ここで注意してほしいのは、盗作とかパクリというのは日常用語であって、法律用語ではないということです。法律的には、著作権という法律上の権利を侵害しているかということが問題であり、なんとなく盗作やパクリに見えるものが全て違法になるわけではないのです。私の授業でも、法律的に違法になるものなのかということと、倫理的に見てやらない方がよいことなのかを分けて教えています。
 このようなエンブレムやロゴが、どのような場合に著作権侵害になるかどうかについて、ここでは深入りしませんが、簡単にポイントだけ見ておきたいと思います。日本の著作権法を基礎に考えると、①原告が制作したロゴが著作物であること(著作物性)、②原告のロゴと被告が制作したエンブレムが類似していること(類似性)、③被告がロゴに接し、それを自己の作品に利用したこと(依拠性)などがポイントになります(もっとも、ベルギーの著作権法はこれと少し異なるようです)。ただ、単純でありふれたロゴの場合、「類似性」や「依拠性」の認定が難しく、著作権侵害になるかどうかの判断は微妙なところがあります。

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出典:日本経済新聞Web版2015年7月29日
「東京五輪エンブレム、ベルギーの劇場ロゴと『酷似』」
(http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG29HG8_Z20C15A7000000)
 
「情報メディア法」の授業では、著作権法については、どのようなものが著作物になるのか、著作権とはどのような権利なのか、他人の著作物を自由に使えるのはどのような場合なのかなど基本的な事項を講義した上で、特にデジタルコンテンツやネット上の著作権問題について重点的に話をしています。
メディア学部の学生は、法学部の学生ではないので、著作権法に関する細かい知識を網羅的に身に着ける必要はありません。ただ、CG、ゲーム、イラスト、音楽、デジタルサイネージといったメディアコンテンツを製作したり、活用したりする場合に、著作権は必ず関わってきますので、最低限の基本的な知識を身に着けておく必要があります。そして、将来、社会に出た後で、こういうコンテンツを作ったり、こういうプログラムを作ったりすると著作権を侵害するなど法律的な問題を発生させるかもしれないという勘が働くようにしておくということが重要です。もしかしたら法的な問題を発生させるかもしれないという勘が働けば、後は、弁護士などの法律の専門家に相談すればよいのです。このような勘が働くということは、ある意味、法律的なセンスといってもよいかもしれません。皆さんにも、ぜひ、法律的なセンスのあるメディアエキスパートになってほしいと思います。

執筆=村上 康二郎

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