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デザイナーの観点からの研究と流行について

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製品のデザイニング(特にプロダクトデザイン)は人が使うための製品の形態と機能を追求するという点では学問的行為と類似しています。形態と機能は時代に応じて流行も若干は考慮しますが、流行こそが最優先というプロダクトデザインはまずありません。1930年代のアメリカにおいて空力特性を考慮する理由はないと思われる製品にも流線型が使われたという形態の流行事例はありますが。

 

流行と言えば研究にも流行はあるのかもしれません。研究の主目的は事実・本質の追求だと思いますが、これまでに私が所属した学会の論文からも流行の事例をあげることができます。代表的事例は「ファジィ」の流行あたりでしょうか。私の論文のいくつかも日本ファジィ学会(現在の学会名は日本知能情報ファジィ学会)の掲載論文です。1990年前後にファジィという言葉は一般社会においても大流行し、たしかファジィという言葉が新語大賞にもなったと思います。

 

当時、私もデザインに関する研究対象としてファジィ理論研究のなかでファジィ推論には興味を持ちました。ファジィ理論研究とデザインとの関係に着目したからです。ファジィ(fuzzy)という単語は曖昧さを示す形容詞ですので、ファジィ理論の活用は厳密な解同定が困難な対象の研究に向いていると思いました。当時はプロダクトデザイナーとしての仕事が多忙でしたし、難解な理論を理解するような資質も足りない私でしたが、デザイニングは一種の推論とも解釈できますので、曖昧な対象を扱うファジィ推論に興味を持ったのです。

 

デザインプロセスのどの段階であれ、その現場では例えば「安全感を高くするために角をもう少し丸めようか」といった言い方での議論は普通に行われます。高いとか少ないとかという表現は曖昧です。それでも製品は最終的形状へとたどり着くわけです。このプロセスをデザイン支援システムとして構築することにしました。プロセスのモデル化の試みという言い方もできると思います。まず主成分分析(多変量解析の一手法)を用いて数多くの言葉で表現される要求を数次元の空間軸として圧縮表現し、デザイン対象をパラメトリックモデリングしたうえで、要求イメージ空間軸とモデリング対象のパラメータに関するファジィプロダクションルールを作りました。このルールを有するファジィ推論システムをCADに実装した結果、一応目標とするデザイン支援システムは完成しました。これについては本にもまとめました。

 

当時、ファジィ理論に関連する研究は曖昧さを扱うと言う点で新鮮でしたし、推論の理論も比較的理解しやすいということもあり、私のような実務に携わる人々も巻き込みました。今思えば、実務家や一般社会人もやってみたくなる研究の流行もあるのだなあ、という感じです。なお、今は言葉が表面に出てこないだけで制御などの分野でファジィ理論はフツ-に使われているそうです。

 

もしかするとメディア学部で扱うことは研究の流行を生む可能性が高いかも、なんてことを勝手に思っています。

以上、ただの個人的感想でした。

文章 萩原祐志

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