ギターは物理法則通りに鳴る
2015年10月21日 (水) 投稿者: メディア技術コース
みなさん、こんにちは、
メディア学部の授業「音声音響メディア処理論」の2回目は、楽器音の発生のしくみについてです。今日は、その中の1つ「ギターの物理」を紹介しましょう。
ギターには弦が6本あります。高い方から3番目は第3弦と呼ばれます。授業では、このギター第3弦の振動数を理論的に計算してみました。
ギターの第3弦はナイロンでできています。直径は 1 mmで、長さは 65 cm ( 0.65 m )です。ナイロンの密度 1170 kg/m3 です。ギターの弦は約6 kg の力で引っ張ってあります。この条件で振動周波数を求めてみましょう。
ギターの弦の上を走る音の速さは次の式で求まります。
弦の振動の様子を表したのが図1です。
図1 弦の振動と音の波長の関係
弦は両側が固定されていますから、図1の青い線で描かれたように中央が大きく動く振動をします。青い振動の形を上下逆転して右側につなげると、ちょうど波1つ分になります。波の長さを波長と言います。振動周波数は音が1秒に進む距離のなかに、いくつ波長がはいっているかで決まりますから、振動周波数次の式のようになります。
それでは、実際の数値を入れて計算してみましょう。
「音声音響メディア処理論」では数値計算ソフトscilabを使って、数値計算をしたり、音を聞いてみたりしています。
まず、弦を伝わる音の速さは、以下のようになります。
0.0005 (m) は弦の断面が円形になっているので、その半径を指します。引っ張る力の単位は kg から N (ニュートン)にしないといけないので、 9.8 という重力加速度の値がかかっています。この音の速さは次の式をscilabに入れれば求まります。
c = sqrt( 9.8 * 6 / ( 1170 * %pi * 0.0005^2 ) )
%pi は円周率 3.14 のことです。c で表された音の速さは 252.95938 となります。振動周波数は
で、求まりますのでscilabに
f = c / ( 2 * 0.65 )
を入れれば求まります。
振動数 f の値は 195 となり単位はHz(ヘルツ)です。
ファは174 Hz 、ソは 195 Hz 、ラは220 Hz ですから、ソの音にあたります。
ギターを弾くみなさんは、ギターの第3弦はソの音であることを知っていますね?
ギターは物理法則通りに音を出しているのです。
相川清明
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