メディア学部研究教育紹介ビデオ02:清川隼矢さん「初音ミクを周波数レベルで調律する研究」
2015年12月18日 (金) 投稿者: メディアコンテンツコース
メディア学部の伊藤です。
本日は、私の卒業研究「ミュージック・アナリシス&クリエイション」プロジェクトに所属の清川隼矢君の研究に関する動画をご紹介します。
私のプロジェクトでは、音楽に関する分析・調査や新しい表現を目指した音楽作品の制作、映像コンテンツに付与される音楽・音響の研究などを行っていますが、清川君は当初から「音律」に強い関心をもっていました。
例えば、ピアノの鍵盤は1オクターヴ内に高さの異なる12の音を含んでいますが、これらは隣り合う半音の周波数比がどれも同じで、いわゆる「12平均律」と呼ばれる一般的に広く普及している音律をもっています。清川君は1オクターヴを14、15、17、…100といった数で分割した音律における音響面での効果をさまざまな角度から検証・考察し、それを踏まえた作曲に取り組んでいます。
今回紹介する動画は15分割による「Etude in 15EDO」という作品の解説です。この音律でのメロディは初音ミクに歌わせており、音の高さを設定する際に、清川君が自ら開発したシステムが周波数測定にもとづいた信号を送ります。詳細は動画の中で語ってくれていますので、是非ご覧になってお聴きください。
いかがでしたでしょうか? もちろん、12音以外の分割による作曲は、これまでも数多くの作曲家やクリエイターが取り組んでいることなので、手法としては目新しいものではありません。
しかし、清川君がユニークなのは、1オクターヴの分割数を自由に設定できるシステムを独自に開発しつつ、それをもとに実際に作曲を行っている点にあります。また、初音ミクや既存の音楽制作ソフトと組み合わせることで、誰もが扱える高い汎用性をもったツールとしてまとめ上げているのも注目すべきことと言えるでしょう。開発したシステムやツールの機能を最大限に活用した作品を生み出すには、もう少し時間がかかりそうですが、日々の地道な作業の積み重ねが、いつか独自性の強い音の世界を見せてくれると期待しています。
このようにコンピュータに関する高いスキルを活かしつつ、さまざまな表現の模索や研究ができるのは、メディア学部ならでは大きな特長と言えるでしょう。
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(執筆:伊藤 謙一郎)
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