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閑話休題:経済的活動に潜むカオスとフラクタルの話

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今回の面白メディア学は、趣向を変えて経済シミュレーションの話をしよう。筆者はもう10年以上前のことになるが、持続的に技術革新が発生するような長期経済成長の問題をシミュレーションモデルで取り組んでいた。

実際の経済成長のプロセスでは、高い生産性を実現する新しい技術が誕生すると、それが旧来の生産性の低下した技術を代替しつつ社会に普及していき、ついには社会システム全体を規定する技術に成長する。しかし、そうした技術もやがては成熟期を迎え、その生産性が低下するとともに、また新たな技術が誕生してこれに取って代わられ、…という過程を連綿と続けてきている。こうした過程を通じて俗にいうS時型の成長経路が実現される。

筆者は、こうした技術領域の選択を、主として事業会社部門と金融機関との間の取引をモデル化し、シミュレーションを行った。その結果、上記の様式的な事実に合うような、技術転換を伴った十分長期の経済成長が達成されるためには、技術領域の選択にカオス的な現象が要件になっていることを発見した。

次の図は、事業会社部門と金融機関それぞれの、技術領域の選択比率の時間を通じた経路である。それぞれ0と1の間で選択比率が推移しているが、その動きに一定の傾向ないし法則性を認めることは困難であろう。実際下記の経路はカオスになっている。


しかし、両部門の選択比率を2次元の座標平面にプロットしてみると、非常に特徴的な、一定の領域に収まっているのがわかる。そしてこの図形はフラクタルになっている。


経済現象と言えば、株価の動きや、経済予測が困難であることからも、非常に複雑な関係を想起する。しかし、上記のカオスとフラクタルは、二つの部門による技術領域の選択比率を変数とする、すなわち2変数の非常に初等的な式から構成されていることを付言しておこう。

(メディア学部 榊俊吾)

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