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2016卒研生へのバトン

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前回のブログで、28日に、2015年度卒研:経済経営調査研究の最終発表が、無事行われたことをお話ししました。昨年7月に選抜された2016年度卒研生も、この間、4月からの本格的な研究着手に向けて着々と情報収集、基礎的な知識、技能の習得に励んでいました。2016年度卒研生は、18人の精鋭達です。

本学では3年次秋学期より、「創成課題」と言う卒研のテイクオフプログラムを実施しています。「創成課題」は各研究室で自由にカリキュラムが組まれていますが、当卒研でも、毎年学生の特徴を見ながらカリキュラムを組んでいます。調査研究のための基礎的な技能の習得と言うテーマには変わりはありませんが、実施形態については、モデルチェンジをしているわけです。

今年度は、過去の先輩達の論文を読み、その研究手法を習得しながら、執筆者になったつもりで、その研究を発展させる、という課題を出しました。絵画、音楽、文芸などの世界では、模写、習作というトレーニング法がありますが、それをヒントにしました。というのも、研究、特に社会科学の世界では、伝統的に「芸は盗む」ものであって、「教えてくれる」ものではなく、こうした旧来の方法だと現代の学生諸君は途方に暮れてしまうからです。

そして、毎回、各論文ごとに報告者を複数立て、全員で議論しました。この討論を通じて、気づかなかった視点を補い、また異なった見解を調整したり、新しい知見を得るなどのゼミならではの経験ができたと思います。社会科学では、形式的な論理を積み上げていくだけではなく、歴史、文化、価値観、関心など、多様な文脈、背景をもとにした見解を互いに戦わせ、認識を共有し、そして新たに見いだした知見を蓄積していくことで、発展してきました。したがって、当卒研では、自分の研究にこもるのも大事ですが、色々な経験、関心を持った多くの学生諸君との討論が、個々の研究の幅、奥行きを広げるのに不可欠なわけです。

今回取り上げた論文は、Hさん(2008年度)の「眼鏡業界」、S(2009年度)の「ブライダル業界」、S(2012年度)の「プライベートブランドと小売業界」に関する、3種の産業調査研究です。いずれの論文も100ページを超える労作で、各産業ともテーマとして身近で面白いというだけでなく、その研究方法も先輩自身が研究の過程で実用化したもので、まさに習作としてうってつけの論文です。そして、いずれの研究もシンクタンクの産業調査レポートに勝るとも劣らない内容です。

Hさんは、経産省の工業統計、財務省の貿易統計を始め、官公庁統計から業界統計を駆使し、更に代表的な企業の全国的な立地、店舗調査などの事例研究まで行った、産業調査のお手本のような研究です。S(2009)は、ブライダル業界の口コミサイトから、膨大な量のテキスト情報(口コミ)を収集、編集、分析し、いわゆるテキストマイニングの手法のお手本になっています。S(2012)の論文も、産業全体の動向から、代表的企業に関する消費者レビューのテキストマイニング、店舗やCMにおける商品の定点観測まで、およそできることは何でもやった、という徹底したものです。

以上の習作を経て「創成課題」最後の仕上げとして、各自の研究発表を2916日の2週にわたって実施しました。報告は10分程度ですが、質疑では、学生同士、演習講師のK先生、来年度からご担当いただくH先生、そして小生から、様々な質問、コメントが出され、2030分の時間をかけて行いました。いずれの学生の研究発表も、4年次中間発表レベル以上の仕上がりで、来年度の創成課題もこのやりかたでトレーニングをしようと思います。3年次卒研生諸君、半年間、おつかれ様でした。そして、新たな発見と諸君の更なる成長を期待しています。

(榊 俊吾)

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