海外で活躍するメディア学部OBの若杉遼さんの講演
2016年2月 1日 (月) 投稿者: メディアコンテンツコース
メディア学部OBの若杉遼さんにディジタルコンテンツ創作入門の講義で,海外プロダクションで働くことなどについて講演いただきました. http://ryowakasugi.com
若杉さんは最初に経歴について紹介してくれました.2010年に東京工科大学メディア学部を卒業後、サンフランシスコの美術大学Academy of Art Universityの大学院に入学しました。卒業後はPixarAnimationStudiosにてアニメーターとしてキャリアを始め,2015年よりアメリカサンフランシスコからバンクーバーに移り、現在はSony Pictures Imageworks(アングリーバード 2016年10月1日公開予定)に所属し,Character Animatorとして,活躍しています.ディズニーランドでアルバイトをしていたときにキャラクターアニメーションに興味を持ったことが今の仕事につながっているとのことです.何がやりたいことのきっかけになるかわからないですね.
つぎにCharacter Animationについて話が進みました.Character Animatorの仕事は映像系CG業界の一部であり,分業制であること,キャラクターを動かすことが仕事で,演技やアクションを作ったり,しゃべらせたりすることです.海外ではとても人気のあるポジションだそうです.フルCGの映画スタジオでは手付けが多く,演技(セリフ回しの動きとか海外特有のジェスチャー)を付けることは難しいということです.
海外で働くためには,デモリールは必須で,履歴書もインターネットで送ることが多いので,日本からも挑戦しやすいとのことでした.若杉さんは,学生時代にPixarでインターンをして,2〜3週ごとの課題をこなしていき,実力も付いてきたと実感したそうです.
CGアニメーションを仕事にするきっかけは,子供のころから映画の好きだったこと,好きなことを仕事しないとだめだと思ったこと,海外で活躍する日本人がいることを知ったこと,海外でやるなら世界一のスタジオで勝負したかったことなどであると熱く語ってくれました.
海外映画スタジオで働くためには,技術はもちろん重要であるが、一番重要なことはコミュニケーション力で,伝えたいという強い気持ちがあれば,英語力も向上するとアドバイスをいただきました.言葉の壁があるから海外に行かないというのは不利なので,選択肢が増えるように語学力を高めておくといいと考えていたとのことでした.
海外で働いてよかったことは,違う文化では常識が通じない,子供のころから自己アピールが強い,日本と外国の違いを知るなど広い視野を持つことができるようになるということでした.さらに,なにより世界中の業界で友人ができたことがいいことだと紹介していました.
最後に,AnimationAidという日本語で学べるオンラインCGアニメーションスクールの紹介がありました.このスクールでは若杉さんら現役のアニメーターからの指導を受けることができるということでした.
一時間程度の講演のあと,学生らからたいへんたくさんの質問があり,残りの30分もあっという間に過ぎ,講義時間後も質問をしていました.
質問の一部はつぎのとおりです.
・海外と日本の大学生の違いは?
A:海外の美大の学生はすごく勉強する。
・日本人が海外で活躍している雑誌をみて海外に行ったとのことですが,もし見ていない場合はどうだったか?
A:行っていないと思う.自分が一番はじめに行ってやってやるという気持ちにはなれなかった。
・海外で一番困ること?
A:英語でコミュニケーションをとること.最初は大変苦労したが,今は仕事の打ち合わせができる.
・工科大の学生のときに海外に行く決意をして、それから卒業までに何をしたか?
A:スターウォーズでMayaが使われていると知って独学で勉強した.英語のサイトを読んで勉強した.
・デッサン力を鍛える必要はあるか
A:アニメーターを目指すならDrawingはやった方がいい。目を鍛えるという意味でも大切である.
・どれくらいの回数フォローアップがあるか?
A:ショットによる。監督に気に入られたら一発オッケーもあるが5〜6回やり直すこともある.
ショットとアニメーターの技量によって回数は変わる。
・メディア学部で学んだ事を海外でどう応用したか?
A:メディア学部は自分の可能性を模索する場所だった。プロジェクト演習でショートフィルムを作ったことがある.
・海外でアニメを作るとき、キャラクターの口の動きを重視するか?
A:日本ではアフレコがメインである。海外では声優の演技が先にあって、それに合わせて口の動きを作る.
・仕事量は?
A:忙しい時は8時間のほかに2時間程度の残業を行うことがある.
・海外から見たら日本は魅力的な場所と思うが,なぜ海外に出たか?
A:広い視点を持つことができる。選択肢が1つしかないよりもたくさんの選択肢の中から日本を選ぶということをした方がいい。英語を勉強しておいて損はない。最新情報は英語で出ることが多い。
・大学院でやっていた勉強はなにか
A:3Dアニメーションクラスでアニメーターによる指導を受けたり3Dアニメーションのショートフィルムを作っていた.
・キャラを動かす時に人間味を持たせるこつはなにか?
A:難しい。論理的にキャラの感情や心理を考えるとよい。緊張しているのか?ドアの先には何があるのかを考え、自分で動いてみた動画を撮って観察してみる。そして,ポーズ・動きを絵に描いてみる、自分で動いてみるなどしてみるといい.
・3Dアニメーションを作りたいが、見るとよい映画はなにか?
A:2Dならグレンキーンのターザン(Disney)などは,ポーズやタイミングが勉強になる.
ライカスタジオ ストップモーションで有名でパラノーマンなど,ストップモーションの映像も勉強になる.
メディア学部 近藤邦雄
メディア学部 近藤邦雄
「コンテンツ」カテゴリの記事
- あにめたまご2019「文化庁若手アニメータ等人材育成事業」(2019.03.12)
- 学会紹介:ADADA Japan学術大会と情報処理学会EC2019(2019.03.09)
- 大学院授業:プロシージャルアニメーション特論の紹介(2019.03.08)
- ゲームの学会?!(2019.03.07)
- 香港理工大学デザイン学部の紹介(2019.03.04)
「卒業生向け」カテゴリの記事
- あにめたまご2019「文化庁若手アニメータ等人材育成事業」(2019.03.12)
- 学会紹介:ADADA Japan学術大会と情報処理学会EC2019(2019.03.09)
- 大学院授業:プロシージャルアニメーション特論の紹介(2019.03.08)
- 香港理工大学デザイン学部を訪問し、学部長Lee先生にお会いしました!(2019.03.03)
- メディア学部の提携校である香港城市大学への訪問(2019.02.27)
「在学生向け」カテゴリの記事
- チュラロンコン大学からのインターン学生との再会(2019.03.14)
- あにめたまご2019「文化庁若手アニメータ等人材育成事業」(2019.03.12)
- タイの提携校、キンモンクット大学トンブリに短期訪問しませんか?(2019.03.11)
- 学会紹介:ADADA Japan学術大会と情報処理学会EC2019(2019.03.09)
- 大学院授業:プロシージャルアニメーション特論の紹介(2019.03.08)
「高校生向け」カテゴリの記事
- チュラロンコン大学からのインターン学生との再会(2019.03.14)
- 大学院授業:プロシージャルアニメーション特論の紹介(2019.03.08)
- ゲームの学会?!(2019.03.07)
- 香港理工大学デザイン学部の紹介(2019.03.04)
- 香港理工大学デザイン学部を訪問し、学部長Lee先生にお会いしました!(2019.03.03)