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閑話休題:経済的活動に潜むカオスとフラクタルの話(その2)

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経済現象が複雑なのは、非常に多くの人たちが、それぞれの利害得失に基づいて、非常に複雑な取引を行うから、という構造自体が複雑であることが原因である。しかし、以前、同じタイトルで経済現象に潜むカオス構造について話をしたように、非常に単純な取引関係からもカオスが発生する。今回の面白メディア学は前回のモデルに少し補足し、3つの変数からなるカオス的現象と、フラクタル構造を持つ3次元のアトラクターを紹介しよう。

前回は、持続的なS時型の成長経路を実現する技術領域の選択を、事業会社と金融機関からなる民間事業部門内の資金取引としてモデル化し、シミュレーションを行った。その結果、2次元のフラクタル図形が現れた。今回は、このモデルに、研究開発部門を追加し、この研究開発の成果を民間事業部門が利用するという、両部門間の複合的なモデル構成になっている。

次の図は、研究開発部門における、二つの技術領域に対する研究開発比率のそれぞれの推移と、この技術領域間の選択比率の時間を通じた経路である。後者は0と1の間で選択比率が推移している。いずれの時系列にも、その動きに一定の傾向ないし法則性を認めることは困難であろう。実際下記の経路はカオスになっている。

しかし、事業会社と金融機関からなる民間事業部門と、研究開発部門における、技術領域の選択比率を3次元の座標にプロットしてみると、非常に特徴的な、一定の領域に収まっていることがわかる。そしてこの図形はフラクタルになっている。下記に、研究開発部門(Z)の周りに時計回りに回転させたアトラクターを表示しよう。



さて、前回、今回と紹介したシミュレーションモデルは、レプリケータダイナミクスと呼ばれる状態変化を記述する式から作られている。事業会社、金融機関、研究開発部門、それぞれの部門における技術領域の選択が、このレプリケータダイナミクスで構成されている。いずれ、機会を改めて、この面白メディア学シリーズで、こうしたシミュレーションモデルの構築法を紹介しよう。

(メディア学部 榊俊吾)


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