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2016プレ卒研:番外編(古今亭志ん朝)

2016年3月22日 (火) 投稿者: メディア社会コース

前回のブログで、2016年度卒研生のゼミ(本学の授業名:創成課題)についてお話ししました。2016年度卒研生向けには有志で、当卒研本来の調査研究関連の課題とは別に、日本の伝統文化・芸能に関するゼミも企画してみました。本学では授業としてあまり接することの多くない領域だからです。

テーマは、名人古今亭志ん朝「文七元結(もっとい、と読む)」のDVD(落語研究会 古今亭志ん朝 全集 上、ソニー・ミュージックダイレクト)を観て、当時の人間模様、風俗、生活、習慣、価値観、などを考えてみよう、というものです。さらに、本学はコンテンツ創作が一つの柱でもあるので、落語という表現様式についても学生たちの良い刺激になるのでは、と考えました。

「文七元結」は人情噺の傑作で、このDVDは志ん朝1997年の収録です。登場人物がはっきりと目に見える、入魂の高座です。志ん朝は、名人5代目古今亭志ん生の次男で、古典のアレンジにも優れていた、これまた名人の10代目金原亭馬生は実兄にあたります。落語は、歌舞伎などと異なり、世襲で伝統を継いできたわけではありませんが、天才の血は争えず、まるでバッハの家系のようです。

当日DVDは最後まで観たのですが、ゼミのOBO君の突然の訪問で、急遽先輩との座談会になりました。O君は地元富山で就職し、出張のついでに立ち寄ってくれました。臨機応変なところもゼミの良いところで、彼の社会人としての話は学生たちにとって予定外の収穫になったようです。

さて、筆者は志ん朝の高座を一度だけ観たことがあります。ちょうどこの「文七元結」と同じ頃で、千葉市で行われた一門会でした。前座、二つ目、真打、曲芸と、期待と興奮が高まる中、「待ってました!」のかけ声とともに、出囃子「老松」にのって、あの志ん朝師匠が登場しました。演目は「明烏」でした。

2000年、本学からも遠くないJR町田駅で志ん朝の独演会のポスターが目に入りました。しかし、当時志ん朝を観に行く余裕がありませんでした。また次の機会に、と思ったのです。一度きりでしたが、志ん朝師匠の「明烏」を観られたのは、幸運で、幸せなひとときでした。当ゼミ生には、もう一度企画したいと思います。

 

(メディア学部 榊俊吾)

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