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数学をロボットに任せる日のために

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「数学の問題なんてロボットに解かせればいいんだから、人間が数学の勉強をする必要はない」という声を最近になって聞くことがあります。ロボットの技術が進んできたからだろうと思います。

実際、ロボットの頭脳であるコンピュータで数学の問題を解く研究は進んでいます。以前は解けないと思われていた問題がコンピュータを使うことで解けるようになったという例は当然、非常に多くあります。

それでは、いつの日か、数学の問題は、すべてコンピュータが解くようになり、人間は、解くことはおろか、上で述べた声のように数学を勉強する必要もなくなるのでしょうか。

まず現状で言うと、コンピュータで解ける数学の問題は、全体の中の一部です。 とりわけ、コンピュータで解きやすい問題と解きにくい問題があることがはっきりしてきました。

例えば、ある定理が正しいことを証明する問題はコンピュータが解きやすい問題ですが、定理のもとになる命題が正しいかどうかを決める問題はコンピュータが解きにくいか解けない問題です。これは、正しいだろうということが事前にかなり強く予想されている命題でなければ、コンピュータに証明させようとするのは無謀だということを意味しています。

また、解きやすいといっても現状では証明問題がすべて解けるというわけでもありません。コンピュータが導いた証明は、冗長で、後からわかりにくいという問題もあります。理解できるようにするには圧縮などをおこなって簡潔にする必要が出てきますが、容易ではありません。

これらの事柄は、将来は克服できる可能性もあります。そして、少なくとも数学の定理を証明することはコンピュータに任せられるようになるかもしれません。

しかし、そうなったとしても、問題は残ります。なぜなら、数学の問題は無限にあるからです。そして、問題が解けるたびに、その先にまた新しい問題が出てくるのです。

だから、どんな問題を解くのかは、人間が決めなくてはなりません。コンピュータがランダムに問題を決めて解くようにすることはできるでしょう。けれど、その問題には意味がないかもしれません。意味のある問題を考えるのも人間です。

現在、もっとも有力と考えられているのは、人間がコンピュータと対話する形で数学の問題を解くという方法です。人間が数学の意味を勉強して、意味のある命題を考え出し、計算や証明はロボットに任せるというのが、考えられる未来です。

では、少なくとも計算はしなくてもよくなるのかというと、手計算をしないと、数学の意味は勉強できないため、やはり手計算は必要になります。歴史上も数学が急速に発達した時期は、手計算の仕方が工夫された時期でもあります。

将来、ロボットに数学を任せるようになるときのためにも、勉強中のみなさんには手計算をすすめます。大学の授業でも手計算が基本です。

(メディア学部 小林克正)

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