映像コンテンツに登場するキャラクターの表情制作の研究
2016年6月26日 (日) 投稿者: メディアコンテンツコース
6月18日,19日に行われた「Visual Computing /グラフィクスとCAD合同シンポジウム 2016」において,キャラクター表情の制作支援の研究を発表しました.
このシンポジウムは,CGや画像処理技術の研究発表が多く,我々の研究はその中で,制作支援技術を取り扱っていましたが,多くの参加者に興味を持っていただくことができました.
ポスター発表:38
アニメのカット分析に基づくキャラクター表情スクラップブック
茂木 龍太 (首都大学東京), 大澤 洸平 (東京工科大学), 兼松 祥央 (首都大学東京), 鶴田 直也 (東京工科大学), 三上 浩司 (東京工科大学), 近藤 邦雄 (東京工科大学)
このシンポジウムでは,ポスター発表の概要を全員に対して知ってもらうために,第1日目にPoster Fast Forwardというセッションがあります.このセッションでは,著者の都合で私が発表することになりました.そのときの写真は以下のようです.
私たちのポスター発表38は,第2日目にあり,このときは,第一著者がポスターを前に,多くの熱心な参加者に対して説明をしていました.
研究概要:
「現在,4半期に100本以上の新規アニメ作品が放送されている.また,OVA,ゲーム・漫画・同人など様々なコンテンツが生み出されている.アニメ等のコンテンツ作品には物語があり,その物語にキャラクターは必要不可欠である.キャラクターとは「映像コンテンツの内容(筋書きと描写)を観る人に伝え,観る人たちの理解や感動を誘う役割を持つ人物やモデルのこと」である.
アニメ作品ではキャラクターの設定を踏まえつつ複数の人たちでシナリオに合った様々な場面のアニメの原画や動画を制作している.原画や動画といった作画制作者はそれぞれの場面に合った多くのキャラクター表情を描くことができなければならない.しかし,キャラクターの表情の表現の幅があまりに広く,経験者であっても参考資料と描いてきた経験からキャラクター表情の表現を使い分けることは難しい.
本研究はキャラクター表情の制作支援することを目的として,アニメキャラクターの表情スクラップブックを開発する.これは使用者がキャラクターに表情をつける場面で,その場面に合った表情のバリエーションを考える際に用いる表情制作支援システムである.
この目的のために,まず,既存のアニメ作品におけるさまざまなキャラクターの表情を収集し,役割・表情・感情などに基づいて整理することで,既存キャラクターの表情データベースを構築した.このデータベースはユーザー自身でデータを増やすこともできるため,ディジタルスクラップブックとして検索・登録が可能である.アイディアが枯渇した場合,ディジタルスクラップブックを検索し参考画像を用いて表情制作の支援を行う.」
キャラクター表情の表現について調査するために既存のテレビアニメと劇場アニメをジャンル問わず10作品に登場するキャラクター61人の合計763カット分のキャラクターの表情を視聴し参考画像の収集を行いました.そして収集結果をもとに「眉・目・口形状」と「表情要素」による分類をしました.このように多くの表情も分類すると,いくつかのパターンに整理することができます.
このようなパターンを利用したデジタルスクラップブックはアニメキャラクターの表情画像を収めるフォルダ,ユーザーが検索しデータを閲覧するHTMLファイル,キャラクター表情の情報を登録するXMLファイルで構成します.ユーザは動詞と表情パターンに加えて,涙や汗などの表現要素の有無によってタグ検索できます.
このデジタルスクラップブックを用いて,表情「悔しがる」を制作した結果を示します.このように「悔しがる」でも多くの種類の表情を制作して,映像コンテンツのストーリーにあった表情を制作することができます.
メディアコンテンツコース 近藤邦雄
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