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ドイツで「古いビデオゲームのオーラルヒストリー保存の試み」を発表

2016年8月27日 (土) 投稿者: メディアコンテンツコース

 メディア学部 メディアコンテンツコースの岸本好弘です。

 8月15日~17日、ドイツ、ライプツィヒ大学で開催された「第4回国際日本ゲーム研究カンファレンス(Replaying Japan 2016)」にて口頭発表を行いました。テーマは”A study of the “oral history” collection and publication of an old arcade game(古いアーケードゲームの開発者の口述記録の収集・公開の研究)”です。

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▲口頭発表の様子


ドイツ、ライプツィヒの場所はこちら↓↓
https://www.google.it/maps/place/%E3%83%89%E3%82%A4%E3%83%84+%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%97%E3%83%84%E3%82%A3%E3%83%92/@51.3416989,7.9112063,6z/data=!4m5!3m4!1s0x47a6f818200f2c73:0x93df80d2b9b4f552!8m2!3d51.3396955!4d12.3730747

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▲後半生の30年をライプツィヒで過ごしたバッハの像

 会場は50名を超える世界中の研究者でいっぱいでした。最初の質問「あなたが子供の頃、いちばん最初に遊んだゲームは何ですか?」に多くの手が挙がり、「つかみはOK!」です(笑)。

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▲さまざまなゲームの名前が外国人から挙がりました。

 発表のテーマは「ゲームは文化遺産」。ゲームソフトやハードの保存は勿論のこと、ゲーム開発の現場に携わった関係者の「生の証言」を記録することには価値があります。例えば、「どこからアイデアを得たのか?」「どんな開発環境で作ったのか?」「どのような工夫をしたのか?」これらは、開発者本人にしか語れないことです。

 『パックマン』『スペースインベーダー』など超有名ゲームであれば、講演やインタビューの記事が残るのですが、それ以外のゲームについては意図的に取り組まない限り開発の経緯や記憶は年々失われていくのです。

 そこで、他にゆだねるのではなく、開発者自らが中心となってゲーム開発の証言をまとめて記録する新しい方法を、『バラデューク』(ナムコ,1985)の30周年イベントを契機に立ち上げました。この研究を参考に、他のゲーム開発者にも同様の手順で保存を進めてほしいとの目的で始めた試みです。あらためて、「ゲームは文化遺産」です。大切に残しましょう。

 本大会は、ライプツィヒ大学、アルバータ大学(カナダ)、立命館大学(日本)の共催によるもので、「日本ゲーム研究」のための学会です。今大会は、日本のゲーム文化の起源、特に『パックマン』(1980、ナムコ)の誕生から現在までに関する研究に焦点を当て、いずれも元・株式会社ナムコの開発者である岩谷徹氏、サウンドクリエイターの小沢純子氏、『ゼビウス』(1983、ナムコ)『ドルアーガの塔』(1984、ナムコ)の開発者・遠藤雅伸氏が、それぞれ基調講演を行いました。

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▲大会の予稿集。表紙はパックマンです。

1980年代の日本のゲーム開発事情や、3人それぞれの発想と工夫について、会場に集った世界のゲーム研究者に伝えることができたと思います。「アイデアで技術の壁を超える」のです。

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▲4人そろってナムコ同窓会の様。左から遠藤氏、岩谷氏、小沢氏、岸本。

Replaying Japan 2016
http://home.uni-leipzig.de/jgames/replayingjapan2016/

筆記事一覧
http://kishimotolab.org/mediabloglink.html
教員紹介 岸本好弘
http://www.teu.ac.jp/info/lab/teacher/?id=1566

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