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「トポロジー」という数学

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メディア学部教員の渡辺です。


今年のノーベル物理学賞は「トポロジカル相転移」という現象を理論化した米国の研究者が受賞しました。このことを知ったときの私の感想は、「一体マスコミはこれをどのように説明するのだろうか?」というものでした。というのも、この「トポロジカル相転移」という理論は大変に難解なものだからです。私は数学や物理の書籍が好きで、自分の仕事や研究に役立たなさそうなものもよく読んでいるのですが、トポロジカル相転移は大変難解な量子力学と数学を駆使しているもので、私も何度も書籍を読んでいるのですがあまり理解できていません。

ノーベル賞関連では、ノーベル生理学医学賞の大隅先生による「オートファジー」の話題は連日のように解説記事が発行されています。しかし、「トポロジカル相転移」についてはほとんど報道で解説されることはありません。日本人による受賞ではなかったということも大きいと思いますが、おそらく記者の多くは物理学賞での研究内容をほとんど理解できないものであったと推測します。

さて、「トポロジカル相転移」に出てくる「トポロジー」という単語は、日本語では「位相」というのですが、これは高校まではまったく触れられない数学分野です。簡単に言うと、これは「つながり」についての数学になります。

次の図を見てみて下さい。

Blog1


(A)、(B)は 4 個の点と4本の線で構成されている図形で、(C)は3個の点と3本の線で構成されている図形とします。もし「同じ図形はどれでしょう?」という質問があれば、通常は(B)と(C)と答えることになります。(A)が正方形で(B)と(C)が円だから、当然ですね。しかし、トポロジーを考える場合は、繋がり方が同一なのは(A)と(B)なので、(A)と(B)を同一として考え、(C)が異なるものということになります。これがトポロジー(位相)の考え方です。

CGでは、内部では点を線で結び、さらに線のつながりによって面を構成して図形を表現します。そのとき、一見して異なる図形であっても、トポロジーが同じ場合は変形は各点を動かすことによって表現できるので、割と簡単に実現ができます。次の GIF アニメーションは、トポロジーを変えずに点を移動することでねじれる様子を実現しています。

Morph


一方で、トポロジーが変化するような変形は、作成が途端に面倒になるのです。

直感による想像は重要ですが、時には真実が直感とはまったく異なってくることもあります。直感では求められないことは、数学をはじめとする基礎的な領域を駆使して、初めて明確になっていきます。

メディア学部講師 渡辺大地

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