先端メディア「先端 Procedural Animation」紹介:流体アニメーション編
2016年11月29日 (火) 投稿者: メディアコンテンツコース
本ブログをご覧の皆様,こんにちは.
メディア学部准教授 菊池 です.
本日のブログでは,メディア学部が開講している「先端メディア学・ゼミナール」という科目のなかで,私が担当している「先端 Procedural Animation」に関して紹介したいと思います.
「先端 Procedural Animation」は,CG 映像のなかでも「ビジュアルエフェクト( VFX )」分野で用いられる様々なシミュレーション手法に関して,基本的なアルゴリズムの解説,および SIGGRAPH などのトップカンファレンスに採録されている論文を輪講しながら学び,理解を深めます.
その後,Side Effects Software 社が開発・販売している「Houdini」を利用し,学んだアルゴリズムがどのように実装可能なのか,どのようなシミュレーション結果になるのか,さらにどのような映像表現が可能なのかを実際にノードを組みながら実装していきます.
授業内容の詳細に関しては,こちらのシラバスをご覧ください.
今回は,この「先端 Procedural Animation」で最初に取り組む「流体シミュレーション」に関して紹介します.
CG での流体シミュレーションは,大きく分けると「グリッドベース」と「パーティクルベース」の 2 つのアプローチに分類することができます.
パーティクルベース(上図左)では,流体を「粒子」の集合体と仮定して,各粒子の振る舞いを追跡することで流体全体の振る舞いを求めます.
グリッドベース(上図右)では,空間を格子状に分割し,各格子内の物理量の変化(たとえば,速度の向きと大きさなど)を設定された時間間隔ごとに求めます.
たとえて言うなら,川の流れを観察するために,パーティクルベースでは川の上流から木の葉をたくさん流して動きを追跡し,グリッドベースでは川のほとりで流量を定点観測するというような違いです.
そして,近年流体シミュレーションで用いられる代表的な手法である「FLIP( Fluid Implicit Particle )」は,これら 2 つの手法を併用する「ハイブリッド」な手法となっています.
上記「流体シミュレーション」のアルゴリズムは,以下のリンク先で紹介していますので参照してください.
「先端 Procedural Animation」では,まず「パーティクルベース」の代表的な手法である「SPH( Smoothed Particle Hydrodynamic s)」と「MPS( Moving Particle Semi-implicit )」のアルゴリズムに関して解説し,その後「 FLIP 」に関する解説と論文輪講を行います.
そして,アルゴリズムへの理解を深めた上で Houdini による演習を行います.
Houdini による演習において,受講生が作成したシミュレーション例が次の動画になります.
動画 1.FLIP による流体シミュレーション
動画 2.FLIP による流体シミュレーションと剛体の干渉シミュレーション
2つ目の動画では,FLIP による流体と剛体の干渉シミュレーションを行っています.シミュレーションの”精度”としてはまだまだ詰めなければいけない部分も見受けられますが,アルゴリズムを理解し,さらに自分の手でそのアルゴリズムを実装していくことが体験できます.
「先端 Procedural Animation」では,流体シミュレーションのほかにも Fur(毛)や Cloth(布)に関するシミュレーションも取り上げておりますので,また次回のブログで紹介したいと思います.
なお,私が責任教員の「プロジェクト演習:Procedural Animation Basic(演習講師:宮下善成氏)」では Houdini によるプロシージャルモデリングとアニメーションの基礎を,「プロジェクト演習:Procedural Animation Advance(演習講師:瀬賀誠一氏)」ではさらに踏み込んで Houdini による”絵作り”に関して学習しています.
こちらも,別の機会に紹介したいと思います.
文責:菊池 司
「コンテンツ」カテゴリの記事
- あにめたまご2019「文化庁若手アニメータ等人材育成事業」(2019.03.12)
- 学会紹介:ADADA Japan学術大会と情報処理学会EC2019(2019.03.09)
- 大学院授業:プロシージャルアニメーション特論の紹介(2019.03.08)
- ゲームの学会?!(2019.03.07)
- 香港理工大学デザイン学部の紹介(2019.03.04)
「ビデオ付き」カテゴリの記事
- インドネシアの提携校バンドン工科大学の学生と一週間で制作したゲームの紹介ビデオ(2019.01.12)
- セミナー情報:Houdini ユーザのための流体シミュレーションアルゴリズム(2018.04.28)
- 速報!スキー合宿に参加しています(2018.02.16)
- Movie Library : 360°動画最前線!(2018.01.14)
- いよいよ始まります!「第20回文化庁メディア芸術祭・受賞作品展」(2017.09.12)
「在学生向け」カテゴリの記事
- チュラロンコン大学からのインターン学生との再会(2019.03.14)
- あにめたまご2019「文化庁若手アニメータ等人材育成事業」(2019.03.12)
- タイの提携校、キンモンクット大学トンブリに短期訪問しませんか?(2019.03.11)
- 学会紹介:ADADA Japan学術大会と情報処理学会EC2019(2019.03.09)
- 大学院授業:プロシージャルアニメーション特論の紹介(2019.03.08)
「広報」カテゴリの記事
- あにめたまご2019「文化庁若手アニメータ等人材育成事業」(2019.03.12)
- メディア学部の提携校である香港城市大学への訪問(2019.02.27)
- 日本テレビ「世界一受けたい授業」(2/23放送)での講義!(2019.02.10)
- Global Game Jam 2019 最終発表(2019.01.29)
- Global Game Jam 2019 β版発表(2019.01.27)
「授業紹介」カテゴリの記事
- トップレベルの論文を読み込む「CG技術特論」(大学院授業紹介)(2019.03.13)
- 大学院授業:プロシージャルアニメーション特論の紹介(2019.03.08)
- 専門演習「空間インタラクティブコンテンツ」2018後期(3)(2019.02.22)
- タンジブルインタラクションデザイン最終発表(2019.02.13)
- 専門演習「空間インタラクティブコンテンツ」2018後期(2)(2019.02.12)
「高校生向け」カテゴリの記事
- チュラロンコン大学からのインターン学生との再会(2019.03.14)
- 大学院授業:プロシージャルアニメーション特論の紹介(2019.03.08)
- ゲームの学会?!(2019.03.07)
- 香港理工大学デザイン学部の紹介(2019.03.04)
- 香港理工大学デザイン学部を訪問し、学部長Lee先生にお会いしました!(2019.03.03)