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モーションキャプチャで姿勢判定

2016年12月 3日 (土) 投稿者: メディア技術コース

昨今、ファンタジーやSFなどVFXを多用したハリウッド映画のエンディングのテロップを見てるとロトアーティスト(roto atrist)という項目が目につきます。これは人間の動きを撮影、もしくは測定してトレースし、アニメーションに置き換えてる作業を指しています。

 

人間の動きをそのまま使ってアニメーションを動かそうという試みは、古くは1919年のマックス・フライシャー(ポパイやベティブープの生みの親)による短編アニメ作品に端を発しています。撮影した実写の動きを真似るわけで、これを〝ロトスコープ〟と言います。セルアニメ時代では主にディズニーの(初期から中期の)作品群のようなフルアニメーションを構成するときの動きのキーポイントとして用いられたりしています。セルアニメの時代にはそれでも手間がかかる手法なので、極端にその技術を前に出した作品は少ないようです(実写をなぞるのであれば、アニメである必要はないという議論もあったよう。セルアニメ全盛期に〝ロトスコープ〟を駆使したアニメ作家にラルフ・バクシという方がいて、異色作品群として頭角を現してはいるのですが…)。

 

これが、CG時代になって俳優の動きをCGで置き換えるようになってから、このロトスコープの技術が急速に〝コンピュータを介した形〟で発達していきます。コンピュータで人の動きを扱う場合、身体の動きを計測する必要があり、それがいわゆる〝モーションキャプチャ〟技術になるわけです。映画のメイキングで俳優が身体にマーカーをつけて演技している光景を見たことがあるかもしれません(例えば、近年のアニメでモーションキャプチャ技術を多用していたものに「花とアリス殺人事件('15)」があります)。

 

さて、こんなモーションキャプチャの技術ですが、近年ゲーム機用に簡易的な身体動作入力装置が開発され、安価に家庭で身体動作の測定が行えるようになっています。例えば、MicroSoft社のXBox用に開発された "XBox One Kinec センサー" という装置では、動作している人などの対象をカメラで捉えて解析すると同時に、機器から発せられた光の『反射して返ってくるまでの時間』を計測して三次元的な位置情報を計測しています(この測定法はTOF(Time of Flight)という言い方をします)。

 

つまり撮影される画像と計測された距離情報を組み合わせて、被写体の動きを解析するわけです。(閑話休題:機器からの距離を測定する方法としてはステレオ撮影による画像情報を用いる方法、ドットパターンを赤外線照射して、その位置ずれから、対象までの距離を計算する方法などがあります。)

 

これらの画像と位置情報を組み合わせると人の体の各部位の詳細な位置関係を計測することができます。

以前に、この機構を用いて卒業研究で学生が作成したのが、姿勢の悪さを指摘する判定装置です(下写真に測定風景)。体の要所各部位の位置計測をしてそのバランスの優先順位を決めて、姿勢が悪ければ正すように警告する仕組みです。

Moca1

アイデア次第でこのような測定装置を用いて様々なアプリケーションを作ることができそうです。身体動作そのものが入力装置として使える時代、あなたなら何を作りますか?

(文責:永田明徳)

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